お城でゆでたまご

 やっぱり和城には桜が似合う。うん。
 なんだろ?黒城にしろ白城にしろさ、絶対桜が映えるようにデザインしてんだよ。きっとね。
 問題はこの風景ぶち壊しなほど人がいるってこと。まぁ、しかたないけどさ。アタシもその一部だし。チビ太のおでん食っちゃってるし。
 誰だぁ〜?味噌田楽とか硬派に呼んじゃうヤツは。違うもんねぇーだ。そこまでこんにゃく固くないもん。笑えないぐらいゆでたまご冷たいけど。
 一応言っとくけど、今は一人だからって友達0じゃないからな。
「あっ」
 吹き上げた風でスカートがめくれ、舞い上がった桜の花片が見事に歯にくっついたりして。
「先生!」
 油断した!こんなところに現れるとは・・・やっぱ勝負パンツにしときゃ良かった。
「見たゾ見たゾ見たゾ」
「なら、お代は頂戴ね!」
 キスをした。人目さえなければ押し倒したのに。クソッ!
「先生もチビ太のおでん食べたんだね。アタシと一緒」
「こんな冷たいゆでたまご、詐欺だよな」
「口移しならあったかいよ」
「もう食った」
 先生の歯にも桜の花片がくっついてた。なんだ、変なとこまでおそろじゃん。アタシら相性ばっちしだ。
 それにしたって、和城には桜が似合うね。
 先生ほどじゃないけど。

超短編 500文字の心臓
第25回競作「お城でゆでたまご」参加作

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