オン・ザ・ロック
「別れたって?」
カウンタに座った男の言葉に合わせ、わたしはグラスを置く。
それが仕事だから。
「あん。やっぱ不安なんだって」
答えた男の言葉に合わせ、わたしはグラスを下げる。
それが仕事だから。
「物わかりいいとか言っても、やっぱ女の子だよなぁ。いいだけ遊んでんだもん」
常連には注文される前にグラスをお出しする。
それが仕事だから。
「言うなや。傷心なんだから」
奥のボックスに座る不倫カップルにも、いつもの席に座る常連にも分け隔て無いサーヴィス。
それが仕事だから。
「俺が女だったら結婚してやったのになぁ〜」
少し大きめのグラスにストローを二本。
「ホントにするか?」
二人の間にそのグラスを置く。
それが仕事だから。
超短編 500文字の心臓
第23回自由題 投稿作を修正
第24回自由題 掲載作をまた修正
「
超短編の世界3
」掲載
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