酸素

 無邪気に「少子化問題」言う政治家やマスコミを見ると、ウヘェという気になる。こっち来んなと。馬鹿なこと抜かしてんなと。
 残念ながら恋に恋い焦がれる思春期という愚かな季節は終わって久しいのだ。
 全然色恋したいけれども。

 などと、20違う叔母は嘯く。アラフォー。無闇に追い詰められているのかもしれない。言わんとしていることは理解できる。共感に近い感情も抱く。
 でも、それが自分の感情たり得るのかはよくわからない。わかるわけがない。わかってたまるか! 20違うんだぞ。新成人と成人2回目プラスαの差は歴然としてある。仲良いつもりでも、簡単に同じにすべきではない。不用意な同情は敬意に欠ける。
 とはいえ、叔母が燃えるような恋に落ちたことがあるか? は疑問だ。彼女の言う「恋」は「りぼん」や「なかよし」染みていて、「別マ」ですら高尚に見える。
 かすめただけで静電気よりも激しく痛い爆発を感じたことはあるのか? 考えるだけで窒息しそうなスリルな瞬間を感じたことがあるのだろうか? 爛れるような苦しい口づけは? 哀しいだけのセックスは?

 どうか、叔母が恋に取り殺されませんように。

元素12ヶ月を改訂

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