P
古坂大魔王が売れて良かったなぁ。なんてことを陽子は考えつつ、コップを置く。
今はいつもすぐに過去となる。未来はいつも良くも悪くも驚きに溢れ、想像を超える。
TVはピコ太郎から切り替わって、宇多田ヒカルとKOHHとかPUNPEEのコラボを映す。
不意に、陽子は初期微動のような震えを、足裏で感じる。
4/16から繰り返す錯覚。
天気予報は寒波の到来を告げていたから、陽子はPコートを羽織る。
TVを消す直前にASKAが映る。
フォルテでもピアニシモでもない、ピアノぐらいな強さの人生。山も谷も無くて、ちょっとだけ宙を離れて飛ぶライフ。
が、ちょうどいい。自分には。陽子は考えて、全部忘れる。忘れられることだけを、忘れる。
そういえば。と、陽子は玄関を閉めつつ、思い出す。
解散しちゃったな。SMAP。
超短編 500文字の心臓
第153回競作「P」参加作
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空虹桜
短編集 バージェス頁岩
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