ペパーミント症候群
「早く大人になりたい」
11音で約1秒。時間は確実に前進して、呟いただけわたしは大人になってるハズなのに、ちっともそんな気がしない。スッとわかりやすく、大人になりたいよ。先生。
『大人のクセにメンソールなんて吸ってるの?』
『お子ちゃまのクセに知った口きくなぁ』
先生の顔、思い浮かべようとしたら先にツンと、マルメンの匂い。お互いに7月生まれで、ホントたかだか11コしか離れてないのにアウトオブ恋愛対象って、そんなの理不尽だよ。恋とか愛とか好き/嫌いで判断してよ。
『いいんだって。襲っちゃえば』
『だって、ウチら天下の17歳だし』
ホントに襲ってキスしたら・・・なんて、妄想全開で飲むハーブティー。お嬢様な昼下がり。土曜日。お休み。先生、明後日から4日間は10コ差で済むよ。わたしと先生の距離なんて、両手で数えれちゃう。そんなの、ひとまたぎで越えてよ。越えちゃうよ!
早く明日になればいい。できれば明後日。明明後日。会いたい気持ちばっか、重たくてしかたないよ。この4日間で大人になるんだ。大人にしてよ。ねぇ。先生。
超短編 500文字の心臓
第97回競作「ペパーミント症候群」正選王作を一部修正
「
超短編の世界3
」掲載
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