応答しなさい

 あっ、聞こえる? ピピピ 聞こえない? うん。もうそろそろ電池切れるわ。ごめん。ホントごめん。たぶんこれで終わり。いや、そりゃ、俺だって帰りたいし、歩き続けるけど、こればっかりはわかんない。「生きようとする意志はな ピピピ 強い意志もこんな雪山で水も食料も無しで……情けないけど、だから、ごめん。何度も謝って謝ってばっかだけど、こんなことになっちゃって、心配かけまく ピピピ に君に言っておかなきゃいけなかったこと言えてなくて。なんか、ここまで切羽詰まって瀬戸際に追いやられないと言えないなんて思ってもみなかった。クソッ! もっと気楽にあっさり ピピピ すみ」みたいに言えると思ってたんだ。なのに、今もちょっと恥 ピピピ 大丈夫? まだ聞こえてるよね? たぶん、こうやって君と最後に話せたから、俺はまだもうちょっと歩けると思うんだ。君と最後に話せる程度に、まだ俺の運は残ってると思うんだ。だから、この運をつなげ続けるために、言うよ。いい? 愛 プーッ プーッ プーッ

第3回「超短編のパトロン」サンプル作品

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