ルート3のおしまい
どこから歩いて来たかはすでに忘れてしまったが、帰る場所だけは覚えている。たぶん、そこからすべてがはじまるからだ。なにかの基準で三番目にカウントされたこの道が、目の前の丁字路で終わりを告げられても、それぞれの道が「丁」からはじまっているように。
右か左か? 万が一いずれの道も帰る場所へつながっていないなら、作ればいいのだろう。道を。二乗して三になるとか、マイナスになるとか、そんなふうに。歩いて来たこの道は、もともとそのように踏み固められ、折り重なり、積みあげられた上なのだ。
そうして道は必ずどこかにつながる。まだ過程ですらない。だから、進む。歩く。踏みしめた大地が唯一帰り道。たどり着かなければ、はじまらない。
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