さかもりあがり
「最後の晩餐」の話をしていたら、いつの間にかエクストリーム酒盛りの算段となり、夜明け前から森を抜け、坂を登り、頂上でご来光浴びつつ麗しき酒呑みたちと乾杯した。
雨傘パラソル下にシートを広げ、見慣れたラベルやエイジドボトルが並び、ビア樽をタップにつなぎ、テイスティンググラスにちろりまで! アテも豪勢。割物にウコンやチェイサー、酔い覚ましのモカとアガリの緑茶。
「朝陽にスーパードライとは乙だね」
「鴨パテと赤、カナッペと泡、どっちが今時ガーリー?」
「メルシャン舐めんな!」
「ガリのゴマ和えで、純米吟醸だなぁ」
「マリアージュ! マリアージュ! マリアージュ!」
「こんな日にまで働くなんて、ご褒美だぁぁぁ」
と、働き蟻にラム酒与える始末だけど、決して他人を不快にはしない。老若男女で酩酊しつつ夕方にはすこしずつ片付けをはじめた。
「だって、汚いままは厭じゃないですか」
そう言って彼女は、空っぽにしたマッカランの1989年をビニル袋に押し込み、続けて残り僅かな沢の鶴の45年古酒を呑み干す。
我ら愛しき酔っ払いたち。本当に、この人たちと友達でいられて良かった
。
超短編 500文字の心臓
第170回競作「さかもりあがり」投稿作
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