水色の散歩道

 小学校入学早々、まっちゃんの青いランドセルをカッコいいと強奪し、以降、わたしはパンキーな女の子と認知され、もうすぐ高校を卒業するってのに、汚名を雪ぐどころか、むしろ、ファンキーとヤンキーを兼ね備えた、ありきたりな田舎ガールに成り上がった。
 内在してるガーリーやファンシーに気づいてくれる男は、だいたいナヨッとした残念男子か老人で、ヤれると思って近づいてくる男の子らは、案外身持ちの堅いわたしに気づいた途端、ホントに軽い娘へ流れる。うんざりしないではないけど、そういう時の捨て台詞コレクションはなかなかなもので、呟けば三桁RTを軽く超える。
 卒業して田舎を出るか残るかは、それほど問題にならなかった。出て行く理由も残りたい理由も無くて、通学路脇の川の流れに身を任せたみたいだけど、河口の街に就職する。
 パンキーもファンキーもヤンキーもガーリーもファンシーも、全部抱えてわたしは大人になる。歳を取り、たまに帰ってきたわたしはきっと、今のわたしと手つなぎして歩くのだ。この、かつての通学路を。

超短編 500文字の心臓
第159回競作「水色の散歩道」正選王作

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