しっぽ
今のお笑い芸人は体を張らないらしい。つまり、体育会系的笑いから文化部系的笑いへの移行なのだけど、そこをグダグダ言うのはいかにも文化部臭いから敬遠。穴があったら挿れたい体育会系らしく十把一絡げに大くくりして「面白いヤツがモテる」と未来永劫変わらない法則に基づき、俺はパンツを下ろす。
プリ尻。尻と書いてケツと読む。
女どもの黄色い歓声と野郎の雄叫びが上がる。
引き締まった俺の尻に、風呂敷が掛けられるとミュージックスタート。もちろん曲は「TOKYO SHOCK BOYSのテーマ」
力を抜いて、ほぐし、押し込む。捩じ込む。近所の肛門科に可愛い看護婦がいることを祈ることで気を逸らす。ネタは4本。まずはデッキブラシで次はピンポン玉。トドメにボウリングのピンが来て、最後ペンライトに「蛍の光」でフィニッシュ。だから、一発目で失敗してたら憐れんですらもらえない。俺ならできる。笑いとは死ぬことと見つけたり。
BGMが止まる。風呂敷が外される。本来あり得ない場所から伸びるデッキブラシ。どよめきに負けないよう、でもって抜けてしまわないよう、腹と括約筋に適度な力を込めて叫ぶ。
「アンキロサウルス!」
闘いはこれからだ。
超短編 500文字の心臓
第93回競作「しっぽ」投稿作を一部修正
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