小鬼の秘密 - The old man's conceit ver.

 よく見たら、見知った鉱夫の少年じゃった。おまけに女の子までおる。
 昨夜から石たちが妙に騒いでいたから下におったのじゃが、まさか小鬼が二匹もおるとは。
「ポムじいさん」
 いつからか、じいさんと呼ばれるようになった。小鬼から見ればじいさんなのは間違いない。とんと思い出せないほど昔からじいさんじゃが。
 石たちの声が聞こえる。
 仄かに女の子の胸元が青く光っておる
「いやぁたまげた、あんたそりゃ飛行石の結晶じゃ」
 その昔ラピュタ人だけが結晶にする技を持っていたと聞いたが、このような大きな結晶とは・・・小鬼たちは、不安げにワシの顔を見上げとる。
「力のある石は人を幸せにもするが、不幸を招くこともようあることなんじゃ」
 不安を煽るつもりはないが、安易な嘘で安心するような子たちでもなかろう。
 ちゃんと知ることは、己の身を守ることにもなる。
「ましてその石は、人の手が作り出しておる」
 ただ、今のワシには眩しすぎる。子鬼たちよ。無事でな

超短編 500文字の心臓
第189回競作「小鬼の秘密」参加作
tribute to 天空の城ラピュタ

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Text by SORANIJI Sakura,2022
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