まだ生きてるという凡ミス

 閃きはいつも安直で、悔しがることすら許されないほど、自分は天才じゃないと思い知らされる。天才でありたいわけじゃなく、普通に毛が生えたら上出来なことぐらいわかってるけど、でも、このやるせなさはなんだ?
 下の下じゃないけど、普通より下。下の上と言うほど身の程知らずじゃないつもり。下の中ぐらいの人間の屑。ああ。厭だ。
 なんで生きてんだろ? 心から口に出る。社会の分断とかと無関係に孤独で営業成績も給料も上がらない。金持ちが秒で稼ぐ金額は俺の年収より多くて、好きな人は冷たい。
 みんなが愛するあの人やあの人じゃなくて、誰にも愛されない俺が死ねばいいのに。
 金曜の夜とか、そんなネガティヴに襲われるから家呑みは悪酔いする。
「いいことないかなぁ」
 最近の口癖は、言えば言うほど遠のく気がする。言霊なんて嘘だ。みんな自分より幸せに見えて惨めさが増す。歯に野菜が挟まって取れない。
 隣の芝生が青いなら、俺の芝生は何色だ? みんな、どうして素知らぬ顔で生きてるんだろ? 不思議でたまらない。

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