ツナ缶
「ほとぎ なつ」
それがわたしの名前で、日本に20人ぐらいの親族しかいないレア名字。
小中学生は哀れで暇な存在だから、仇名虐めにあったりもしたけど、50過ぎたオッサンが元号変わった21世紀に同じよな反応したあの日から、日本民族は哀れで暇と決めつけた。滅んじゃえ☆
なんて願わなくても、もうすぐこの国もこの星も滅ぶ。
ゴールデン街や思い出横丁とか、闇市跡なところに長くいる人たちは、老いも若きもみんな脛に傷があるから楽だった。斜の構え方が素直というか、想像力と馬鹿が同居するカオス。だから優しい。界隈をグルグル周遊するといろんなモノが体に濃縮され、中毒なスリルで安らいだ。
今はもう亡い。動き続けられず、絶えたのだ。
あっ! やっと歌舞伎町のゴジラが崩れた。
超短編 500文字の心臓
第167回競作「ツナ缶」投稿作
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