野音のステージ反対の第二花壇の芝生を刈る自動草刈り機の話
こんな天気の日は、わたしも草さんたちの刈り甲斐があるってものなのです。草さんたちはね。ええ、わたしは刈らせていただいてると思ってますよ。草さんたちを。芝生を。慈しみって、好きな言葉なんです。無生物が生物を慈しむのって、なんともシュールでしょうけれど、わたしにはこの関係が慈しみの本質に感じられるのですよ。
ホラ、ちょうど良いところに音楽も聴こえてきました。わたしはね、自分の体なのにどうもモータ音ってのが一定過ぎて好きになれないのです。けれどね、ちゃんとメリハリのある一定なら楽しいんです。こんなふうにね。
そもそもですよ。そもそも、草さんたちだって、パッと目同じに見えてもみんな違う。違うんですよ。だから、同じような日々の繰り返しに見えても、同じ言葉の繰り返しに聞こえても、同じ音の繰り返しに聞こえても、すべてはちょっとずつ異なる。「つけま」を繰り返してるからといって、必ずしも同じ「つけま」を指し示すとは限らないわけじゃないですか。「つけま」がなにか知らないですけど。
そうですね
。関西に移住すれば周波数違うって話ですけど、刈るのに良い草さん、いらっしゃいますか?
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