野音のステージ反対の大噴水周辺でおばさんとワンコが散歩する話
夜のこの辺は、存外暗いのです。
遠くでテニスをする人たちや、ビルや、ホテルの灯りがあるのだけれど、ライトアップもしてないこの時期のこの辺は、兎も角暗いので僕は好きです。
ご主人様は、月に何度かこうやって夜の大きな公園を歩きます。暗いのが良いと言います。僕も良いです。ワクワクします。だから、ご主人様は広くて大きな夜の公園で散歩をします。
時々、車のクラクションが聞こえます。歓声が聞こえます。楽器の大きな音と歌声が聞こえます。この公園は、広くて大きくて音に溢れています。
あの日の夜もそうでした。もちろん、僕は人間がなにを言っているのかわかりません。そもそも人間はよくわからない音を発しすぎです。素直に発声すればいいのです。
高い木の上にいた鳥たちが慌てて巣を飛びたつくらいに、あの日の夜、突然上がった大きな歓声は素直でした。
夜散歩生活第一位は、あの時でした。
「
野音のステージ反対の大噴水周辺でおばさんとワンコが散歩する話
」を改訂
トップ
>
空虹桜
短編集 バージェス頁岩
> 野音のステージ反対の大噴水周辺でおばさんとワンコが散歩する話
(C) Copyright SORANIJI Sakura,2024-2026
e-mail
bacteria@gennari.net