野音のステージ向かって右にある環境省の官僚が休日出勤する話

 うっせぇな! と、正直思う。こっちは頭悪い議員様のために無駄な資料作らされてるのだ。土曜の夜になっても目処が立たない無駄な資料。もしかしたら、嫉妬かもしんないけど、だからって、あの五月蠅さが肯定されるわけじゃない。
 クラクションに被さって、オッサンの声が聞こえてくる。
傷つけあって うたは自由をめざす
手を取りあって うたは自由をめざす
 なんだよそれ。自由なんてねぇよ! とやさぐれたことを口にしたくなる。自覚はある。こんな大人になるつもりなかったのに、こんな大人になってる。悔しいなぁ。なりたいもんなんて無かったけど、土曜も日曜も環境のことを考えている。嘘は吐いてない。なにせここは環境省だ。何処ぞのNGOや活動家よりよっぽど本気で考えてる。曲がりなりにもプロだ。
 なのにこのやりきれなさはなんだ?
傷つけあって うたは自由をめざす
手を取りあって うたは自由をめざす
ああっ!
 目端で誰もいないことを確認してから、全力で叫ぶ。
 今日はもう駄目だ。
 ビール呑んで帰ろう。

野音のステージ向かって右にある環境省の官僚が休日出勤する話」を改訂

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