雑感・レヴュ集 メタセコイア
洋画

もちろん、ジブ・コーレンって写真家の仕事っぷりとか、その家族の献身っぷりとか、嫁さんがモデルだとか、イスラエルとパレスチナの関係とか、9.11との接点とかなんだかんだで東京の平和さとか、物語的というか、映画的に美味しい材料が転がりまくってて、これがホントにノンフィクションかどうかすら、思わず怪しみたくなる（苦笑）のだけれど、一つのセリフ、一つの写真、一つの場面が重層的に構成されていて、見てて思わず「意味が重い」と呟いてしまうほど。
瞬間瞬間で思ったり感じたりしたことが、次の瞬間に消失したり忘れたりするのではなく、重なっていく感じなんですよ。だから、見てれば見てるほど重くなる。
ところどころ、PV調といった感じに頻繁にカット切り替わったり、F1でいうオンボードカメラみたいに、下からジブ・コーレンを見上げるようなカットが入ってきたり、ちょっぴりポップな曲調だったりが「今」とか「現在」感を強調してるのもまた重たい。
子どもがおもちゃの銃を持って兵隊と並んでいたり、銃を抱える青年といった感じの兵士がカメラに向かってピースマークを出したり、訓練とはいえレーザスコープで捉える敵は自国民だったり、間違いなく同じ地面で起こっている「今」だからこそ、この映画は重い。
写真自体の重たさもあるけど、それを選んで重ねたのは監督の腕。
その意味できちんとこれは映画で、今年ベストです。素晴らしかった。
いちおー、イスラエルとパレスチナのWikipedia程度に予習してくと、より意味がわかりやすいかと。