「
アルプススタンドのはしの方」見ました。
ホントは「
8日で死んだ怪獣の12日の物語」が見たいんだけど、上映タイミングが合わないのと、アップリンクに今は行く気がしないのと。
ってことで、超久々、リニューアル後初のシネマカリテ。
でさ、これがビックリ。やられた。傑作。
ちゃんと笑って、ちゃんと泣いたぜ。ザ・高校演劇。
舞台版見たい!今年ベスト。
中村守里が抜群だし、ホントに美少女な黒木ひかりの美少女感が素晴らしい。
ウルトラマンZの時のチョイ偏った感じのキャラと、今回みたいな王道美少女。両方ちゃんと演じこなしていて、ただの美少女ではないというか、伸び代のある美少女だなぁと。
ウルトラ関連でいれば、我らがエメラナ姫 as 土屋太鳳みたいな。
いや、ウルトラマンゼロを一通り見た人間は、全員姫様の付き従うのであります(敬礼)
それはともかく、ちゃんと鬱屈と屈折と解放の青春物語。
悔しいことに、ムカつくことに、厚木先生は単なる馬鹿だけど、
素直な馬鹿だから、最後に、ホントにあるか知らん全国大会出れるわけですよ。
だって、そこまでがんばれたのは
「
お茶が好きな人は『おーいお茶』が一番って言わないと思います 」
って5億点なツッコみ食らったからじゃん。それを素直に受け止めて、お茶好きになったからじゃん!
あのツッコみ爆笑したんだけど、周りの皆さんはよく調教されてるようで、声出さないのな。
もったいねぇ!
つか、厚木先生歳下か!!絶望した!!!!
あすはとひかるのコンビは間合いが、完全に板についてたなぁ。舞台版からやってるからだよね。
それはともかく、本当に野球シーンが一切入らない見事な演出でした。
なるほど。
だいたい舞台でどういう演出してたか想像がつく。
じゃあ、野球的リアリティ。もしくは、スポーツ応援のカタルシスがないかといえば、それはある。
高校野球のしょうもないミスのおかげて発生する過剰なドラマはちゃんとある。
けれど。
けれど。
絶対に打っちゃいけない矢野君は打たない。
打たなかったからこそ、矢野君の物語は、彼らの物語は続くんだ。
続くんだよ。
だって、絶対ベースボールマガジンかナンバーのインタヴュウで打てなかった話するじゃん。
松井につい四連続敬遠の話するようなもんだよ。
そう。それはどうしようもなくくだらなくて、でも「しょうがない」で済ましちゃいけないのだ。
「あの頃は下手糞で最後の年だからって思いで作りに出してもらったようなもんで。だから、悔しくて大学4年間超練習したんですよ。おかげで育成で拾えてもらえて」
とかって話聞きたいじゃん。
もしかしたら、みっともない反骨心とか無駄な足掻きかもしれないんだけど、でも、もうとっくの昔から屈折してる身としては、「しょうがない」でやっぱり済ませちゃいけないのだ。うん。
1nmも甲子園じゃない甲子園で、それでも1勝に憧れる。
ここで決定的なのは、矢野君の姿形がスクリーンに登場しないこと。
黒木ひかりの久住さんも舞台版ではいないんだけど、この娘もいないことが重要な役だと思うんだが、
一番不在が重要なのは矢野君なのである。
なんで、パンフに矢野の背中出すかみたいな話あったけど、出さなくて大正解。
だってさ、努力とか堅実とかに形は無いんだぜ。
だから、改めて思うのは、THE BLUE HEARTSに依存しすぎな。音楽。
ってのは、アトロクの映画評聞く前に書き上げてたんだけど、宇多丸の「藪先生こそが矢野だ」ってのには膝を打った。
んで、リスナーからの中央礼賛になっているって指摘も。
後者については、実は登場人物もともとホントに端の人間では無い。
って問題があって、学年1の秀才や地方大会進出する脚本家と役者だったりするわけだ。
野球部はちとわからんけど、すくなくとも女の子らは中央の子たちなんだよ。
だから、彼女たちのOnce Again映画でもある。