彼女のCDを一枚も持っていないのに、彼女の言動は自分になにかを書かせようとする。
今、ドキュメントを見ながらこれを書いている。
アーティストであり、それでいてプロであること。
それは巫女―シャーマン―である彼女には拷問に等しかったのかもしれない。
吐き出される痛みはトランスへのプレリュード。
その恍惚は自分だけのものであり、どんなに放出される残滓が芳しくとも、他者が触れることはできない。
絶対的な孤独との引き替えが重力崩壊を繰り返す超新星。
光さえも取り込むエナジィは果てしなきエクスタシィに彼女を誘う。
すべて、彼女が巫女だったから、シャーマンだったから神はそれを許された。
ただ、決定的に彼女が違ったのは、巫女であること、シャーマンであること以上に溢れた才能。
領域の違う自分にすら嫉妬を感じさせるその才能は、彼女の孤独を許さなかった。
そしてそれは、巫女であること、シャーマンであることの放棄。
どうしてこんなに生きにくい世の中になったのだろう。
間違ってもそんなことは言えない。
どうしてこんなに世界は広いのだろう。
間違ってもそんなことは言えない。
有史以来、これほど生きやすく狭い世界は「今」しかない。
だから、価値感は容易に反転し、時代の波が寄せては返すのだ。
踏ん張ることも流されることも許されず、ただたゆたうには、あまりに人は重すぎる。
求めよ、されば与えられん。
孤独を捨て、人になるため彼女は傷を負った。
それが喜ばしいのか悲しむべきなのか自分にはわからない。
時が傷を癒してくれると無責任に言い放てるほど、自分は強くない。
孤独が怖くないのかと問われれば間違いなく怖いと答えるだろうし、なにより、自分はあまりに通俗すぎる。
ただ、その孤独から手を伸ばせばなにかに触れられると信じたい。
だから、安心してお休み。
たとえ怖くても、夢の中ならそばにいれるから。
だから、安心してお休み。
誰もあなたを嫌わないから、誰もあなたを傷つけないから。
逃げてもいいから、怯えないで・・・
だから、安心してお休み。
