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作品名記述者記述日
ディナー・イン・アメリカ唸るバクテリア2021/10/28★★★★

予告編見た時から、これはアレなヤツや!!!ってことで、嬉々として「ディナー・イン・アメリカ」見ました。
酷いわぁ。いろいろ酷いわぁ。アメリカ人って屑しかいないわぁ(笑)
この酷さは予想してたのより一段酷かったので素晴らしいですよ。
ハーレイ・クインより「ファック」言う登場人物出る映画久々に見たよ。しかも、出てくる美男美女がことごとく人を見た目で罵る屑人間っていう。ホント、アメリカ酷ぇ。
しかしだ。しかしなのである。
これがパンクか?かと問われれば、断然パンクなのである。
もちろん、楽曲としてのパンクはライヴシーンどっぷりあるのだけど、姿勢としてのパンクが貫かれているのである。
一件目の会食は、浮ついたばーさんに(文字通り)乗っかったら裏切った。パンクではないから窓を割って火を放つのだ。
いや、油は事前に撒いてたけど、アレだって、色目使ってる娘や母親に興味なく、アメフトだけ集中してる糞みたいな父親と息子相手にしたら、早かれ遅かれ、そうなるのがわかってたわけだ。
二件目の会食は、堅苦しく、過剰に清潔な毒親と冷凍食品を囲む。パンクじゃない毒親の前で、しかし隠れなければならいので、可能な限り清潔さに乗った嘘を吐き、嘘の中に致命的な真実を混ぜる。
あとでわかる事実だけど、清潔であるがために、そんな強い薬飲まされたんじゃ、そりゃノロマにもなろうもの。
三件目の会食は、実家だからこそ家族は全員敵みたいな状況で、それでもパンクを貫こうとする。
ちなみに、ワンカットだけ出てきた家政婦さん、セックスしてるのはともかく母親に報告だけはするってのが、忠誠と家族愛は別って人間味出てて好きです。
それはともかく、結果として一人で食べる刑務所の飯が一番おいしいのだ。
パンクじゃないヤツらは視界に入らない(同性愛者の目から逃げてはいるけど)パンフの山崎まどかは、ネタバレ避けて言及しなかったとこだけど。
その山崎まどかが言及しているとおり、終止マズそうに食われ続けるご飯の中で、一番おいしそうなのは、もちろん、マリファナとパティの唇なのである(またなにを言い出す)
ただ、断言しておくけど「愛がなければ飯がマズい」はポリコレ的にアウトでなければならないし、そこに無自覚なのはジェンダー論的な言及を普段してる人にしては筆が甘い。
なもん、ムショで食う飯はドラッグも煙草も抜けてるから、舌がまともに機能してるんでウマく感じるに決まってるじゃないか!(台無し)
いずれにせよ、これはTBSアナウンサ山本匠晃にこそ語ってもらいたい。パンフは誰よりもこの人に寄稿してもらうべきで、配給会社はもうちょっと映画内容を踏まえるべき。安パイみたいでピント外れなライタとか使ってちゃアカンよ。誰とは言わんけど。
でだ、俺はパンクの人で無いけど、最低限パンクを知っている人だと信じてるし、ライヴシーンではモッシュがしたくてたまらなかったし、帰って、この感想文はthee michelle gun elephantかけながら書いてるのだけど、この映画のどこがパンクかといえば、世界がしっかり歪に描かれていることに尽きるのだ。
俺の認識している「パンクス」の精神性は、歪な世界を歪な世界として真っ正面からぶつかっていく人たちなのだ。
「体制」がどういう存在かをキッチリ理解していなければ「反体制」は貫けない。
この映画の世界は、「ケータイ」の存在を仄めかしているのにケータイ自体は出てこず、ポリティカル・コレクトネスは存在せず、売れてる音楽はロックであり、猫の死体を4日も放置できる世界なのだ。
トラック数数え切れなかったんだけど、(おそらく)16トラックのカセットテレコで、ずっと同じテープにレコーディングしてるように見えたのだけど、そっからミックスダウンが可能な世界線なのだ。
ドラムにマイク付けてるようにも、マイクを立ててるようにも見えなかったけど、めっちゃクリアにドラムが録れてる世界線なのだ・・・
今ではないどこか。
90年代だと監督は言うけれど、オープニングでパティが着ていた、どこのキャプテンアメリカ?みたいな星条旗なワンピースは90年代でも古いはずだし、チェキの時代が来る前にポラロイドカメラをデコってる女の子がいたのか?は怪しい。
ただ、それらを全部引っくるめて「俺の思い出の90年代」という歪さに対して、真っ向からパティとサイモンは監督・脚本・編集のアダム・レーマイヤーに立ち向かっていく。
この構図こそがパンク精神の表れなのだ。
パンフにその辺が詳しく出ているけど、たぶん、アダム・レーマイヤーはそれがわかっているから、キャストの決定に(3年は望んでなかったにせよ)時間を掛けた。
ホント、この主人公コンビの組み合わせは素晴らしい。
エミリー・スケッグスのちょっとダラしないボディラインや、なんとなくウチの妹に似てる感のある、冴えない眼鏡っ娘ぷりと、パンクを聴いている時の突き動かされてしまうダンス。
一方で、汚く飯を食い、「ファック」を連呼し、煙草すらマズそうに吸うカイル・ガルナーの、監督の発言の通り、どうしたって隠し切れない、育ちが良さそうな瞳の奥の移ろい。
ここで書く感想文にしては珍しいけど、きっとこのあと、パティはパンクバンドを組んだに違いないので、出所したサイモンと音楽性の違いで喧嘩とかする続編が見たい。
んで、サントラ売ってくれ・・・
「WATERMELON」聴きたい・・・
そうそう。歌詞が結構韻踏んでるんだけど、字幕がその辺全スルーだったのが残念でした。
あと残念でいえば、キャッチコピィで踊るのが「覆面バンドの推しメン」っていうから、MAN WITH A MISSIONみたいの想像してたんだけど、単にヴォーカルだけ捕リスクがあるから覆面してるだけじゃないか!絶望した!!
そういう意味では、逮捕リスクとか全然考えずに金出したとか言ってるプロデューサ(The Jesus LizardのDavid Yow)は、稼いでそうだけど仕事はできないよなぁと。

あとそう、エンドロールで「WATERMELON」のあとが無音になったので、パンクだぁぁぁ!とテンション上がったのだけど、パンフ見たら、使いたかった「It's Hard to Belong.」が権利上使えなかっただけだったとか・・・絶望した!(本日2回目)

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