予告編で、「なにゆえ、リドリー・スコット?」思わざるを得なかった「
ドーナツキング」見ました。
久々に人が多い気のする武蔵野館。
とはいえ、両サイドは埋まらず一安心。
見てる間、何気に自分の体調が悪いと気づいたので、ドーナツ食べたい欲はウマい具合に抑制されたのだけど、たしかに言われてみれば、
あの頃の僕には滝川のミスドは御馳走でしたよ。ええ。
パンフ見たら、そんな話がいっぱいだけど、紹介されてる人の半分ぐらいは知らない人・・・時代が違うのはわかるんだけど、その客層が見に来る映画なのか?
いや、コメント仕事を起点に、自分のPodcastやなんやで宣伝してもらうことが目的か・・・
それはともかく、見事に奢れる者も久しからず。栄枯盛衰。
やる気も意欲もあった人が、成功したらヒリヒリが足りずにギャンブルに溺れて身を滅ぼすって、笑えないぐらい一昔前にありふれたテンプレ話だし、一度じゃないのだろうけど、一度の浮気で離婚されるのもよくある話。
ただ悪い人間じゃないから、嫌いになれないのもよくある話。
しかして、共和党支持。
よく無い話なのは、カンボジアから、クメール・ルージュから、ポル・ポトから
逃げてきた難民だったって、ただ一点。
この一点が、余計にリドリー・スコットの気合いを煽った感じが請け合いの編集。
つまり、作中で二度ジェラルド・フォードの演説が引用されたとおり、アメリカは移民の国であり、移民が国民食であるドーナツを支えてるのに、移民を排斥しようって、
お前らどういう魂胆だ?っていう。
しかも、ジェラルド・フォードは共和党。
わかってるかね。ドナルド・トランプ。
しかも、ローカルの話でもあり、ドーナツ屋の存在が地元のアイデンティティでもある。
大きな話と小さな話が、わずか99分ぐらいに押し込まれていて、しかも、最後には未来の話もしっかり押し込む。
この手管!
もちろん、主に2019年撮影されているので、COVID-19以後の世界まで到ってはいないのだけど、二世三世が、この世界を巧みに生き延びないとは思えない(二重否定)
なにより、一世が未だにちゃん店に立ってる気なのだ。
アメリカンドリームはたしかにあって、それは俺が生まれた頃の話。
今はもう無いかもしれないけど、SNSも含めて、貪欲さを失いはしない。
貪欲さが身を滅ぼしたのだけれど、しかし、同胞を生かした。
ここで同胞と訳すのが意義深い。
なにが正解か?って、なもん正解はないよね。明らかに。
だから、この映画は価値がある。
良くも悪くもじーさんの話が、世界に普遍しうることだけを明確に描き出す。
後悔の多い人生か否かで言えば、明らかに後悔の多い人生。
けど、いい人生か悪い人生かなら、「いい人生だった」と言って、たぶんドーナツキング a.k.a テッド・ノイはカンボジアで死ぬのだろう。
たぶん、それでいいのだ。