雑感・レヴュ集 メタセコイア
アニメ

作品名記述者記述日
Flow唸るバクテリア2025/06/06★★★★

本文中のリンク先には、アフィリエイトを含むことがあります。ほぼお金になってないですけど。

まさかのアカデミー長編アニメーション賞を取ってしまった猫映画。「Flow」をまたもやTOHOシネマズ新宿で見ました。
好きでもない劇場に何故こんな来てるのか?思いつつ、パンフ在庫無しだったので心から呪詛をしたり。なんのための大箱か!
それはともかく、なかなかアウトプットをしにくい映画。
事前に町山さんの「こねくと」を聞いていたから、これを作者ギンツ・ジルバロディスの物語と思うと、ハッピーエンドには見える。まるで機動戦士ガンダム最終回の「 まだ僕には帰れる所があるんだ 」的に仲間と一緒に映る水たまり。
歪でも大切な仲間。
でもさ、あんな急に水が引くって、おかしいよね?と、3/11を経験している日本人として考える。
アレ引き波じゃね?こっからまた、波来るんじゃね?
事実、オープニング同様に鹿の群れは逃げていく。
と考えると、船が無くなってしまった彼らは逃げる場所が無いじゃないか。事実、最後に鯨(というよりアレは魚竜的)は、海面を跳ねていたではないか!
もちろん、それはラトビアという国で作られた映画という影をまとう。
ウクライナが亡くなった瞬間に、ロシアというかプーチンから逃げる場所が無くなる国家
なんなのだ?この辛さは。
ウクライナを「ノアの方舟」と見なしてしまうのは、絶望的な感すらある。よく考えたら、黒猫は魔女のつかいじゃないか・・・
何故か、常に黒猫は光り輝いている。
終盤、鳥(鷺?)が天に召されるのは、最初、仏教的だなぁとも思ったのだけど、物語の経緯を思い出すと、黒猫へ最初に情けをかけてくれて、守ろうとしてくれて、守るために怪我まで負ってくれて、もしかしたら飛べなくなることでプライドすら傷つけられたかもしれない鳥は、ギンツ・ジルバロディスの亡くなった先輩だったりするのかもしれない。
ああ。そうして、この映画を作るしかなかったのか

Blenderを使って描かれたこのタッチは、ある意味ではBlenderを有効活用しているといって良い気がする。
印象派的とも言われるけれど、Blenderの解像度からすれば、これぐらいのトーンに抑えるのがベストというジャッジを感じた。
一昔前のゲームであったよなぁ・・・とか思ったら、「ICO」と書いてる人を見かけて、たしかに!と膝を打つ。
そんな中でもカピバラや猫の動きのリアリティといったら。
なによりも馬鹿犬なのです!
まさか猫映画を見に行ったはずが、
馬鹿犬めんこいと思って帰ってくるとは思いもしなかった。
カピバラ助けるの忘れて、ウサギを追い出す馬鹿犬の馬鹿犬たるや!
あの馬鹿っぷりをめんこいと言わずして、
なにをめんこいと言うのだろうか?いや、言わない(反語)
あと、存外誠実なワオキツネザルね。
仄かな鏡に映る自分大好き感も可愛い。
ああ。そうか。
この映画、ビックリするまでのジェンダーレス映画なのだ。

でさ、話を戻すと、何度か3回ぐらい黒猫は溺れるのです。
上述の通り、それを作者ギンツ・ジルバロディスと読み替えると、それぐらい死にそうな経験をしたのだろう。
とはいえ、その中で魚を捕まえることが出来たし、あまりに怪獣チックな鯨に助けられることもあった
辛かったのだろうけど、その一瞬一瞬が煌めいたことは間違いない。じゃなければ、あんなにも魚をカラフルには描かないだろう
痛みや辛みを乗り越えられなければ、クリエイターなんぞには、なれないのだ。
オーロラが輝くのにカンボジアというか、東南アジア感があるのは、だからきっと世界が水で覆われたのだろうと推測する。カピバラの生息域は南米だけども。
どんなに都合が良いと言われても、船は浮かんでいるのだ
じゃなければ、2012年になっても名取に漁船は放置されない。
辛い。
でもね、救いはちょいちょい笑わせに来てくれて、隣の席のカップルは鐚一文笑ってなかったけど、ホンノリ笑いに包まれる瞬間が何度もあったこと。
やっぱり最終的に、笑いこそ救いだとすら思う

ちなみに、原題「STRAUME」なの?そんなロゴ見当たらなかったのだが。
それと、この映画は嘔吐映画と見なしても良いのか?それとも、猫も反芻するのか?

広告

BACK

雑感・レヴュ集 メタセコイアBANNER
(C) Copyright Unaru Bacteria,2025
e-mail bacteria@gennari.net