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作品名記述者記述日
岸辺のふたり唸るバクテリア2004/02/07★★★★

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綺麗な薔薇には棘があるのさ

そう言ったのはたしか幽遊白書の蔵馬である。
全然関係ない枕で恐縮だけれど、これは言い得て妙である。
たとえば、昆虫や両生類のたぐいは、綺麗―あるいはグロテスクな代物にたいてい毒がある。
同様に、美しい芸術にも毒か、あるいは棘がある。
何故なら、美しくあるためにはなにかを失わなければならないから―

ほとんど2色で構成されたアニメーションと、ゆたかに流れる音楽。それだけで構成された、シンプルな作品である「岸辺のふたり」。
主な登場人物は父親と娘。そして自転車と川がキィとなる。
自転車はクルクルと回ることで前へと進み、川はどこからかどこかへとつながる・・・
少ない要素で構成されているから、見ている観客はいくらでも深読みすることができる。
しかし、このアニメーションを見るときに、その深読みは必要であろうか?
ただ、この綺麗な画面と綺麗な音を享受さえしていればいい。
思考は不要だ。そこで見たモノだけが真実だ。

けれど、見ているわたしは思考する。
ここでの毒はそれだ。
ただ、泣けばいいものを深読みしすぎて泣くことすらできないでいる。

綺麗な毒で死ねないわたしは、ひどく汚れていてとても不潔だ。


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