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邦画

作品名記述者記述日
ジオラマボーイ・パノラマガール唸るバクテリア2020/12/18★★★★

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ジオラマボーイ・パノラマガール」見ました。
50代が多いというか、いっそ老人が多いといった客層だったけど、まさかアイドルムービーだったのである。山田杏奈の
上映時間のわりにちょっと長い気がしたのは終わりどころを逸した印象だからなのだけど、ある種、高校演劇的であり、青春映画的であり、シスターフッドみもあって、しかし、昭和と令和のハイブリッドな歪さは、たしかに2020年に岡崎京子を映画化する甲斐があるのかなぁと。
渋谷パルコが復活した2020年の映画かなぁと。
でも、これはアイドル映画だと声を大にして言おう。
山田杏奈が素晴らしい。絶品。
山田杏奈を鑑賞する映画なのですよ。
山田杏奈には売れていただきたい。是非とも。
山田杏奈。
山田杏奈。
山田杏奈。
抜群に目が印象的な娘で、まさか網膜寄りのカットが出てくるとは思わなかったぐらいに。
そこまで目を推した映像を監督の瀬田なつきも見せてるし、ちゃんと応えた芝居をしてくれたなぁと。
俺、適度に遠い未来、山田杏奈の「ジオラマボーイ・パノラマガール」見たって自慢したい。
あと、カエデ役の滝沢エリカもバランス感が難しいところの芝居を良くこなしてたなぁと。
逆に神奈川役の鈴木仁は、ちょっと演出に誤魔化されているというか、ゆるふわイケメン死ね!って気もするのだけれど、ある種、岡崎京子らしさかもしれないけれど、ステレオタイプな印象に見えた。
童貞臭さはあるんだけど、童貞臭さはフアンタジーの童貞なんじゃないだろうか。
そう。
この映画に描かれた青春はファンタジーだ。

リアルにスクラップアンドビルドされる川下なウォーターフロントのマンションに、そう易々とは侵入できないし、ホテルのバックヤードだって9.11以降、そう易々とは侵入できない。
誰にとってファンタジーか?といえば、それは俺であり、パンフに寄稿しているしまおまほ(しかし、パンフは名文)であり、同じ回を見に来ていたオッサンやオバサンにとってのファンタジーなのだ。
「STAR WARS」トークも「LIFE」トークも成立し、部屋には「2001年宇宙の旅」のポスターが貼ってある。乾電池で動くターンテーブルで「LIFE」を聴く。廊下で「ラブリー」を唄う。
なんてサブカル幻想!!
愛おしい渋谷系幻想。
令和の女子高生がそんなことあるか!
と思いつつも、YouTubeやらなんやらで、文化が並列な子どもたちにとって、昭和以降のポップは等しくキュートなのだろう。
スカートを広げてクルッと回る女の子にどうしても惹かれるし、明らかにアレなエロい女(森田望智はエロくてイイネ!)がいたら、たまらなく焦がれてしまう。
世界の終わりが目の前にあって、でも、日常は変わらず進んでいく。海岸沿いの街は再構築される。橋を渡る。
川と橋は、常に境界であり、世界は変わるのだ。

きっと、成就したと思われるハルコの恋は、どうしようもなくつまらないことで終わるのだろう。
けど、盗んだ錆びた自転車で走って捕まったあの時間は永遠で、カエデとのどうしようもない友情も永遠だと信じたい。一観客として。
ちなみに、成海璃子は脇役にしてはちょっと存在感ありすぎるのだけど、パンフ読んでたら、(これ芝居だったら良いなぁ)思ったお茶こぼすシーンがやっぱりハプニングだったので、成海璃子には、あの感じをナチュラルにできる役者になって欲しいなぁとか。
一方、大塚寧々が普通にお母さんで驚く。
こんなにナチュラルな芝居できる役者だったんだなぁ。
で、パンフを最後まで読んだところでふと気付く。
たしかにこの映画はアイドル映画だけど、決定的に俺は勘違いしている。
この映画で一番のアイドルは東京だ

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