予告編、メイド服で三味線弾くっていう頭のおかしい映像にやられてしまったので、映画「
いとみち」見ました。
いや、メイドガチ勢としては、もうちょっと気合いの入った和服並みに着るの時間かかる、コルセットみっちりのメイド服で三味線弾いて欲しいところだけど、それはまぁ、仕方が無い(なにを言っているのか)
しかしてビックリ。これは完全にナーメテーター案件でした。
すくなくとも、
今年の邦画ベスト。
多少、青森県人の青森好きがあふれてる感はあるけど、成長譚という王道を踏まえて、去年「
ハスラーズ」がアメリカ的なシスターフッド映画だったとして、実はこれぐらいの弱いシスターフッドが日本的なのかもしれないという。
あるいは、津軽的。
ラストカットの強さはわかるけど、演奏シーンで終わっていいじゃん・・・思ったら、見事にパンフで監督にプライドを見せつけられたので、俺の負けです。ごめんなさい。
ある種、日本のシスターフッドやエンパワーメント映画のロールモデル、もしくは最低ラインを提示した映画なのではないかと。
微妙に片言感ある三味線も良い(パンフによると一年練習した!)のだけど、なにより白眉は主人公の違和感の無さ!駒井連凄いぞ。
たとえば、ほぼ全編津軽弁だけで進んでく物語や、演奏もそうだし、なにより表情が素晴らしい!
オフィシャルのトップで笑顔で三味線抱えてるのが、凄まじく無理してる感出てるけど、劇中じょっぱりな表情の自然さ。
伸びる娘だし、伸びて欲しい。先物買いとして間違いない。
ハイライトはもちろん演奏シーンで、興が乗りだしてからのわかりやすい芝居は、しかし、難しい芝居でもあるはずで、実際、祖母役の西川洋子もパンフで褒めてたけど、演奏をおざなりにはできないわけですよ。
カメラは常に、弦の押さえ手を見ている主人公の目を写す。
それまでは、素に近い部分で演じてる良さかと思ってたけど、あのシーンで演技の引き出しの広さがハッキリしたなぁと。
あとどうしても言及したいのだけど、ニコラのモデルだったらしく、いちいち衣装の着こなしが絵になってるの。
オフィシャルの写真でいいから、下に下がっていけば、突拍子もない服を着こなしているのに出くわすから!
これはモデルだからか?それとも才能か?
あと、おばあちゃん役の西川洋子が、ちゃんと三味線弾ける人(これまたパンフによると高橋竹山の最初の弟子!)だったのが、圧倒的な説得力を与えてるなぁと。
んで、西川洋子が大好きというトヨエツですよ。トヨエツ。
演出上、わりとベタな像ではあるんだけど、トヨエツの存在感が適度なリアリティを物語に与えていて、大学教授なのに家いすぎでね?とか、山へ行くとか言い出すエキセントリックさも「トヨエツだから、しゃーないか」って気にさせる。
メイド喫茶のスタッフ含め、見事な、これは配役の妙。
幸子がいとの髪を梳くシーンなんかは、わかりやすすぎる展開ではあるけどグッと来る。
しかしてしかして、この映画の恐ろしく
アップルパイが食べたくなることです。
仕方ないから、買って帰ったぞ。
アップルパイ売ってなくて、リンゴデニッシュだったけど。