アンコール2回目。
「
ミラーボールの下ぐらいまで行くから 」
そう言って増子兄は柵の上を歩いて、俺の方へと近寄ってくる。
周りから観客もグッと寄ってきて、増子兄が立つのはもうひとつ柵の向こうだなんてしりもしないから、目の前に女の子が倒れてきたりもした。
こんなふうに顔を歪める増子兄を何度か見たことがある。
一度は、サンステに初めて立った2003年のRSR。
一度は、野音で「はじまりのブーツ」を唄った時。
そして、今日。
客だけなら、サンステとかフジのホワイトとか、きっとRIJとかで万単位を相手にしたことがあって、それに比べれば圧倒的にすくない三千弱のZEPP。
でも、増子兄は必死で涙を堪えて「ド真ん中節」を唄う。
ちょうど俺の位置から見ると、天井の証明が逆光位置で、増子兄に後光が差してるみたいに見えた。
歩けど歩けど見えない明日の光 あぁ暗い森に道を誤るな
(from「ド真ん中節」)
今日見たらRSRで見なくてもいいかなぁ。と、思ってた。
RSRじゃなくて、野音でも武道館でもドームでもないのに、増子兄、そんな顔しないでくれ!みたいな嫉妬心すら抱いた。
でも、しみさんが
「
ゆるい坂道をすこしずつ上っていくバンドだと思います 」
って言ってたとおり、きっと、ここで大きく喜ぶのが、怒髪天というバンドの良さなんだな。
1日だけとかフェスとかじゃなくワンマンで、3000という客を動員したという事実が、怒髪天には大切なんだな。
「ド真ん中節」が終わって、CD音源ながらも「セバ・ナ・セバーナ」に乗せて、声を出すファンの中にいて、やっぱりまたすぐ会おうと、強く思った。
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