雑感・レヴュ集 メタセコイア
邦画

作品名記述者記述日
三日月とネコ唸るバクテリア2024/07/05★★★★

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偶然、原作を買い込んでいて、しかも読み終わってすぐぐらいに映画化発表されたので、見ないわけには行かないなと思った「三日月とネコ」をTOHOシネマズ日比谷で見ました。
パンフ作ってないのね。残念。作っておいた方がいい映画だと思うのだが。
ちなみに、ショップで映画のタイトル口にしたら噛んだので、ヘラヘラな感じでショップをあとにしました。
店員さんがメガネ美人だったからかんだのではない(宣言)
それはともかく、びっくりした。
最初、ちょっとなんか違うなぁ・・・思っていたのだが、気がついたらこのマンガ大好きだわぁみたいなことを考えていた。
冒頭、地震に対するインフォメーションが出される。
ちゃんとそこに向き合うのかしら?と思ったら、そうでもない。
なにせ本震のタイミングで緊急地震速報がならない。マジか!?その後の余震では鳴る。
もちろん、事実として鳴ったかどうかを知らない。熊本に住んでいないから、でも、それは鳴らす順が違うだろうと思う。
序盤、この調子で全体的になんだか噛み合わないまま映画が進む。
このちょっとしたずれみたいなモノは、物語が進むにつれてチューニングされていった感触があって、順撮りだったのかしら?などと。
天下の小林聡美 as 網田すみ江すら、登場直後には多少の違和感がある。
ラストシーンは、巧いこと劇中の料理を織り込んではいるのだけど、たこ焼きが「ちょっと熱い」って、駄目だろそれ!(もう一個なんか違和感あるシーンがあったけど、思い出せない)
もちろん疑似家族モノというか、現代家族モノなのだけれど、あまりそこの社会問題性には言及しておらず、セクシャリティだって、なんで自分でパンセクシャル言って仁君 as 渡邊圭祐が、アロマンティックを知らないんだ?みたいな話もあるのだけど、まぁ、自分のジャンルじゃなきゃそんな知らないのかね。
これは原作読んでても思ったことだけど、原作ではそこまでつぐみ as 石川瑠華をアロマンティックとしては描いていない(でもって、アセクシャルではない)

それにしても、やっぱり灯さん as 安達祐実より、鹿乃子さん as 倉科カナの不器用さにときめくのですよ。
同い年の安達祐実はやっぱり美人だけれど、二の腕は中年になりはじめていて、歳上役で、本人は×2で、何故か桑島智輝と離婚してビックリした。
無論、安達祐実に対する知識があるから感じる違和感なのだけれど、それが、フーとギー登場した瞬間にきちんと猫映画になる。
悔しいかな、3匹の猫が可愛いのだ。
で、鹿乃子さんが「可愛いの権化だね」と言った瞬間、倉科カナが完全に鹿乃子さんになった。違和感が消えた。これが映画のマジックか!と思った。
あの言い方は、完全にマンガの中の鹿乃子さんの言い回しであり、イメージと寸分の狂いがなかった。
倉科カナって、こんないい女優だっけ?配役の妙?
そして、灯さんと同じところで同じように泣くにいたって、40過ぎのシンクロ率の高さも含めてお前は俺か状態にいたる。
そう考えると、たしかに監督上村奈帆の原作愛は端々に現れる。
ちゃんと熊本ロケだし。ご飯は悔しくなるぐらいおいしそう(熊本で日本酒飲んでるのにおいしそうって!)だし、平日は麦茶で休日はビールとか、ちゃんと日常を過ごしている感覚がある。見ている間、腹が減って仕方がなかった。
そして、終盤のバーベキューのウマそうさったら!
仁君の職場が無くならず、ただ大阪出向になるだけなのも原作愛というか、登場人物を好きすぎて、苦しめたくなかった気がする。
追い詰められる方がドラマ的には正しいのだが。
俺が鹿乃子さん好きだからってのはあるけど、物語的に三人が三人とも、ちょっとだけ自立し、それでも疑似家族を続けることに意味があるのだけど、どうしても灯さんの自立メインで描かれるところに物足りなさはある。

あと気付いたのは、やっぱり夏に手持ち花火でキャッキャしてる映像がインサートされる映画はいい映画!
上述の通り、家族モノではあるのだけど、このシーンにおいて帯びる色合いは俄然青春モノであり、青春みたいな時空間は、何時・誰にだってやってくることを忘れてはならない。
翻って、もしかしたら、当初の違和感みたいなモノは、僕の中にある一般性とか普通みたいなモノなのかもしれない。
あの映画とあのマンガの時空間において、誰にも優しくて穏やかな世界は、違和感を乗り越えないと辿り着けないのかもしれない。
一般的でも、普通でもないから。

この映画、唯一にして最大のミスは、ネイティヴの倉科カナに熊本弁喋らせなかったこと(原作ではちゃんとセックス描写があったのに、安達祐実が昼寝で誤魔化したことではない)(待て)
一方、俺の最大のミスは清田みくりちゃんに気付かなかったことである。
エンドロール見て「えっ?」なった。

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