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邦画

作品名記述者記述日
マミー唸るバクテリア2024/10/11★★★★

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いや、リアルタイム世代的に偏見はあるでしょ?ってことで、しっかり価値観を揺さぶられてこようと「マミー」見ました。
なんともグッタリする映画。
すくなくとも、推定無罪の原則があるのならば、林眞須美は無罪である
彼女がやった証拠がない。
マジか。なんもねぇじゃねぇーか。すっからかんか。いっそギャグだぞ。笑っちゃうぞ。なんだこれ。
スプリング8ぶん回して鑑定した結果は、メキシコ産や韓国産じゃなくて、中国産っぽいってたけじゃないか。
もう歳取りすぎて怪しさ全開みたいになってる大学教授が、ポソポソ説明してるとか辛すぎる。
っていうかさ、あんなに大々的に打った技術の進歩による新事実がこれぐらいとか、怖いじゃん。

そう。怖いのだ。無茶苦茶怖いんだぞ。この映画。
なにが怖いって、結局のところこの2点に尽きる。
・被害者が多すぎるから、この国では推定無罪無視して犯人を仕立て上げねばならない
・周囲が適当に盛り上げれば、この国では犯人にして構わない
ずっと導かれ続けてる結論はこの2点なのだ。
言い換えれば、何時でも君は死刑囚になれる!
待って。怖い。なにを書いてるんだ。こんな怖い話がマジで現在進行形で進んでるのか。袴田さんを踏まえるまでもなく。
オリオンビール着たオッサンが、林眞須美無罪を主張する「あおぞらの会」に絡んで言っていたのと同様に、俺もつい最近まではなんの疑いもなく林眞須美が犯人だと思っていた
なんだったら、まだ死刑じゃないんだ。とすら思っていた。
たぶん、マグマにそんなこと書いてるんじゃなかろうか。
でもたしかに、これでは彼女の犯罪とは言えない。
もうちょっと言おう。
この映画で問題になってるのは目撃証言とヒ素の同定だけである。
あとは、雰囲気の否定だけ。つまり警察も検察も、この程度で死刑囚を仕立て上げてるのだ。なにそのタイトローパ。ある種の芸術ですらある。危うい橋渡りすぎだろ。
治安維持にそれって、江戸時代ぐらいから変わってねぇのか。お前ら。怖っ!

残る雰囲気が問題ではある。
雰囲気だぞ雰囲気。ルール上アウトなのにセーフにしろとネットで大暴れする馬鹿しかいないのが、パリオリンピックで明らかになったこの頃。
「アイツが犯人臭い」でいくらでも死刑にされうるのだ。
もちろん、元々詐欺しまくってたんだろ?という話はある。
率直に感じたのは、悪気が無いのだ。気楽な保険金詐欺。極めて小者なのだ。悪いことは悪いし、嘘吐きは嘘吐きなんだけど、じゃあ、小さな悪を巨悪にしてしまっていいのか?という話でもある。
たしかにそこにあるのは偏見で、この映画を見るまで、この偏見下に俺もいた。
でも、終盤ジャーナリストの片岡健が
虚心坦懐に冷静になって見てみると、それだけの目に合いながら何で生きているの。何で林眞須美さんに出される食べ物や飲み物を何の疑いも無く食べ続け飲み続けたのか
とか、真顔で言うのな。
前にいた、映画を見るというより、左巻きな理由で見に来たっぽいおばあちゃんたちと俺だけ爆笑してしまったじゃないか。
たしかにその通りで、コントだろ。マジで。
そもそも、砒素の味見してみたいとか言って舐めたヤツに、ホイホイと保険金払った日本生命が最初の悪だろ(言い過ぎ)
小悪を巨悪に仕立て上げる暇があったら、本当に悪い奴を捕まえろよ。裏金議員とか!

そんなわけで、繰り返しだけど、これで林眞須美を死刑にするのは無理だ。待て。落ち着け。帰ってこい。謝る方がメンツ保てるって
被害者には申し訳ないけど、これでさらにひとり殺したら、むしろ寝覚めが悪くないか?真面目な話。
場合によっては、まだ人殺しが側にいるわけだし。
集落の崩壊と、家族の崩壊と、刑事司法の崩壊の三重崩壊の物語なのだ。
しかも、ついこないだ。20世紀終わりの話。
繰り返すけど、リアタイで見聞きした話。
家族である当人たちは未だに林眞須美を「マミー」と呼ぶし、林眞須美は家族への愛情を失っていない。
その意味で、家族は崩壊しきっていないとも言える。
けどさ・・・けども。
次女は何処に行った?
見た翌日気づいたけど、カレーを舐めた次女と砒素を舐めた父親は見事に相似形なのだ。お行儀は正した方が良いのだなぁ・・・
ちなみに、監督の盛大なギャグもあるのだけど、それはそれで、この映画に挿入されるのは誠実だが、胡散臭さをあげてもいる。

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