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生誕120年 棟方志功展唸るバクテリア2023/12/28

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今年何度目かの国立近代美術館で、何気に先行で抑えていた「生誕120年 棟方志功展」見ました。
棟方志功はファンキーかつプリミティヴという、岡本太郎的なイメージでいたのだけど、違った。
ポップで戦略的な人だった。
本人はゴッホに憧れていたけれど、作品は物凄くピカソ感に溢れていた。略歴的にもピカソじゃないか!
というのが、全体的な感想なのだけれど、細かく見ていくと、まずは冒頭の日展へ出した油絵「雪国風景図」ですよ。
紛れもなく印象派のタッチ。オジサン流石にこれはわかるようになった。
そして、版画になった途端に例のプリミティヴみのあるタッチになるのだけど、いや、これってさ、ピカソがキュビスム的になってくのと同じじゃね?っていう。
もちろん、展示の中で版画への動機が無かったのだけれど、おそらくは、アホほど自伝が出てるから読めよという話。
そして、屏風の制作ですよ。パラダイムシフト。ビックリ。
点数が多いから展示拒否られないために屏風にするとか、発想の転換の凄まじさだし、なにより、これぞ戦略的。
縦3mの「幾利壽當頌耶蘇⼗⼆使徒屏⾵」の存在感たるや。
モティーフを仏教・宗教画にしているからこそ、曼荼羅を描ける強みですよ。
伝統的に屏風絵も襖絵も寺社で展ぜられるモノだから、仏教画の飾られようとしても適切という。
これが戦略的でなければなんなのか?
ハイライトは序盤に出てきた「東北経鬼門譜」だけど、六曲二隻の屏風のセンタに仏様(鬼門仏)を置いて、しかし、仏様の身は二隻の端にあるため、並べると必然裂け、その裂け目から出てるなんかで衆生を救うというダイナミズム
久々に鳥肌立ちましたよ。
で、白黒の版画のタッチとしてはプリミティヴみを感じるのだけど、色を付けた途端に過剰なカラフルさとポップな配色
この配色のポップさは、素の感じもあるのだけど、いや、相当に計算されているよう。「飛神の柵」や「ホイットマン詩集抜粋の柵」のポップさたるや。
とくに鯉の掛け軸は、解説も含めて、当を得ているなと。
このポップさはTシャツにされていたら、ちょっと財布の紐を絞れる自信が無かったのだけど、一切、衣服はなかったのです。超サプライズ。救われた。
小物ばっかり二千円ぐらい買ってしまったけれども。
民芸との接点というのは、青森の人であるところが大きい気はするのだが、田舎にプリミティヴさを見出そうとしたというより、土着的なのがキチンと残っていたからこそ、民芸接近できたというのが正しいんじゃないかと。
もちろん、まつわるエピソードのとんでもなさは、持ってる人って持ってるよねぇ。と言わざるを得ないのだけども。
そして、最後の大ネタであるところの「花矢の柵」
圧倒的なスケール感とカラフルさで、これを県庁に掲げられるのは、とても誇らしく思えるのだが。

なお、前半に出てきた「桃真盛り」が相当好きです。
あと「華厳松」なら、二扇が好きです。

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