雑感・レヴュ集
メタセコイア
どうせ見るならこの一本

試合名記述者記述日
ナビスコ杯
鹿島アントラーズ対浦和レッズ
空虹桜2003/11/20

本文中のリンク先には、アフィリエイトを含むことがあります。ほぼお金になってないですけど。

どうやら、やっぱりレッズには雨が似合うらしい。
南へ向かうに連れ、天気が悪くなる飛行機の中。アタシはそんなことを思った。

PRIDE of URAWA REDS

国立に着いたのは試合の始まる30分前。でも、指定を取っていたから余裕はあった。
選手紹介を背中に聞いて、心拍数は上がる上がる。
さすがに達也のTシャツはなくて、山瀬を買った。頼まれたおみやげも買った。
間違って買った鹿側のシート。
着いてみたら周りほとんど赤かった。臙脂じゃないぞ。
後ろには臙脂の親子連れだけど、父親はヤジ将軍だけど、関係ない。
UBだろうけど、スタンドの階段を上り下りしてなにかを伝えてる。でも聞こえない。
鹿がビックフラッグを広げる。アタシたちはブーイングで応える。
なぜだか、負ける気がしない。
隣の、たぶん犬サポの話から、ようやくUBだろう人(「ロッソ・ビアンコ・ネロ」の人ですね。たぶん 2004/01/05追記)が言っていたことを理解する。
そう言えば、アタシのシートには白いビニルが置いてあった。

去年は星だったりなんだったりで、運悪くアタシはそれに参加できなかったのだけど、今年は参加できた。

選手が入場するのにあわせて、掲げる。
赤と白と黒で塗り分けられた国立。この日のために、U・Bに調べてもらってデジカメ買った甲斐があった。本当にそう思った。(余談だが、未だにJリーグじゃ「アウェイ」が感じられないとか言ってるサッカー解説者及びにフリークはすべて死んだ方がいいと思う)
メインスタンドは遙か彼方に霞んでいる。レッズのビブスをもらい損ねたから、防滴具はなにもない。
それでもいいと思った。

声を出す。叫ぶ。唄う。
一緒に戦うために。
そんな中、鹿サポの応援を初めて真面目に聞いた気がした。単に近くにいたからだけど。
いつも書いていることだけれど、試合の詳細をアタシは書かないし、書く必要もないと思う。
もちろん、覚えていないってのもある。否定しない。
だけど、調べればわかることだし、映像媒体もあるのだから。
アタシがここで語るべきは戦ったか否かだし、その時なにを思ったか。
ポンポンとシュートが飛び出し、あっさりと先制する。
けど、嬉しい。たまらなく嬉しい。
だから飛び跳ねて喜んでやったさ!
試合はずっとアタシたちが押し気味に進んでいった。
ゴール前まで攻め込んでは周りのみんなと一緒に立ち上がる。
山瀬だ!Tシャツ買った甲斐があったってもんだ!!
後ろから鹿サポのガキが
「いいから早く座れや」
とかなんとか言ってたけど、それどころではない。
勝者が敗者に従う必要はない。

何度か攻められた気がするけど、ほとんど覚えちゃいない。
ただ、最後の最後の直前で、エメと坪井が倒れ、9人でサッカーしていた時間は怖かった。
もし、昔の、三冠王者を取った頃のアントラーズのような力が相手にあったなら、同点にされ、最終的には負けただろう。ウチは。
でも、点は取られなかった。
たぶん、運が良くて、ちょっぴり今の鹿よりウチが強いだけなのだ。
そう思えるぐらいテンションは上がっていたし、雨も降っていた。
ハーフタイムでトイレ行列に並ぶよりは、嗄れつつある喉を潤すためにビールを買う。ずぶ濡れにビールだから、今考えればバカ。
戻って座って、ちょっとお腹が減ってたから、今年はきちんともらったナビスコグッズ。オレオをいただく。
美味しいんでやんの。
そうこうしてるウチにお約束のロングフラッグがゴール裏で広げられる。

正直、今年はユニ旗がないのが寂しかったけど、でも、あの赤白黒はたぶんスタジアムそのものをユニ旗に変えるための魔法だったんだ。
そう思うことにした。

当然のことだけれど、前半より後半の方が記憶がない。
とりあえず、1点入ることに飛び上がって、周りのオッサンやガキとハイタッチをし、内舘のミドル(前後半とも)にため息をつき、んでんで、エメの上げた4点目のゴールをオーロラビジョンで確認してから喜んだ。
たぶん、今まで生きてきた中で一番喜んだ。
いつの間にか小笠原は退場し、いつの間にか後ろのヤジ将軍は黙っていた。
力ずくで黙らせたのだ。サッカーの力ずくで。
エメが何度も煽るから、アタシたちは何度もエメのコールをし、気が付けば、UBは「We are DIAMONDS」を唄っていた。
それぐらい、完膚無きまでの圧勝。
もちろんそれは、運が良かっただけだということ、わかってる。
後半途中から雨は本気で降り注ぎ、アタシは既にずぶ濡れ。
でも、でも、最後の笛が鳴ったとき。喜びと、これまでの悔しさと、そして安堵が同時におそってきて、素直に感情が出てこれなかった。外に。
とうの昔にスコアは4-0になっていて、万が一にも逆転される可能性がなかったからってのもある。
ここまで10年かかったってのに、こんなにあっさり勝っちゃっていいの?
ここまであんな辛い思いしてきたのに、こんな完勝しちゃっていいの?
スタジアムはWe are REDS !!に包まれて、ヤジ将軍とその家族はもう後ろにいない。
表彰式の用意が進んで、ホームゴール裏は誰もいない。
いつものスタジアム。いつもの試合。いつものサポート。
アントラーズの表彰にブーイングをかけたヤツはほとんどいなかった。
実はこれが一番誇らしかったりする。
たしかにモノは壊すし、喧嘩っぱやいヤツらが集まってるサポだけど、礼儀は心得てんだよ!!
臙脂に入れ替わって、赤いユニフォームに着替えた選手が階段を上る。
そこに、井原はいない。
そこに、広瀬はいない。
そこに、伸二はいない。
そこに、土田も田北もいない。
西部は今年も準優勝の表彰を受け、歴代外人連中は来ていない。
なにより、福田がいない・・・

こうして、今、言葉に直していけば感傷的にもなるけれど、あの瞬間はそれどころじゃない(「We Are The Champion」がかかったときだけは除く。やはりQueenは偉大だ)
ただ、その事実だけがあった。どこにあったのかはわからない。

キャプテンは内舘である。
ミドルを2本すっ飛ばした以外は、たしかにキャプテンらしいプレイをした。
MVPは達也らしい。わかるけど、実際はエメだろうなぁ。
オフトと達也と、あと誰だっけ?とにかく、インタビュウが終わって、選手が挨拶に来る。
ゴール裏の人間がなだれ込む。
どこかにも書いたけど、どうせなだれ込むんだったら笛が鳴ったときにしろよな。カッコ悪い。メダル盗むんだからなおさらだ。
スタジアムアナがプログラムすべてが終わったことを伝え、UBはまだ唄っているけど、アタシはスタジアムをあとにした。
赤い人混みの中、ただ、勝ったという実感もないまま千駄ヶ谷駅まで歩いた。
時々遠くで小さく唱和が聞こえるけど、せっかく勝ったんだから、もっとはしゃいでいいのにと思う。
駅まで着いて、Tシャツがずぶ濡れなことを思い出し、着替える。
どこもかしこも赤い人で溢れていて、嬉しいオーラは出ているのに、華やかさはない。
もしかしたら、みんな実感がなかったのかもしれない。
ともかく、団体様にこっそりついて、浦和を目指した。
土地勘無いもん。

どこの駅でも赤い人たちがいて、なんだかとても不思議。
中央線だっけ?沿線は少しずつ赤い人が分散していったのだろう。
商店街のオバチャンは「おめでとう」と声をかけ、マックがいち早くセールを始める。

「力」の周りではサポがもう暴れてて、アタシもワインをかけられた。

ホントはきちんと駒場で報告会も見たんだけど、なんか書けば書くほど無意味な気がしてきたのでここで止めます。
ごめん。
なんだろ?どちらにせよ、これ以上言葉を使うことに意味はないし、アタシたちの喜びも苦しみも悔しさもうれしさも理解してもらえないと思う。もちろん、アタシにそこまでの文章力がないってのもある。
漸近しようとすればするほど遠ざかる、まるで蜃気楼のような感情。
たぶん、アタシはこの感情を持て余しているか、もしくは存在しない。持っていると思いこもうとしている。
ありきたりな言葉もありきたりな感情もなかった。
ただ、ただ・・・やっとだよね。これからだよね。待ってるからね。

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