まだリニューアル後の写美に来ていなかったのもあり、東京都写真美術館で「
ロバート・キャパ 戦争」をB1F 展示室で見ました。
約50分程度だけれど、どんよりとした気持ちを抱えて帰る50分。
外ではビール呑んで楽しんでる人たちがいて、そもそもウェイウェイしてる人たちがいる街で、
こんなどんよりするのは切なくすらある。
キャパがカメラらを持ったキッカケが日本人で、その日本が侵攻した中国の写真を撮り、日本に招かれたところから、急遽飛んだインドネシアで亡くなったキャパ。
代名詞になった「崩れ落ちる共和国側の兵士」のインパクトは、おそらくファーストインプレッションだからだ(
キャパの写真として紹介することの問題意識が写美に無いのは疑問)
一方で、見たわたしはリアルでないにしても、もっと
グロいカットも覚悟していたから、白黒なのに赤く見えてくる血だまり程度(ドイツ軍狙撃兵の犠牲となった米軍兵士)では、
やはりゴアさは感じない。
キャパのシニカルさみたいなところは、たしかに見える。
とくにグッときてしまった「アラゴン前線に向け出発する列車から手を振る共和国側の兵士たち」
車腹に「プロレタリア同盟の兄弟たちに誓う、圧政に屈するぐらいなら、死んだほうがましだ」と落書きされたパンチラインの強さや、「一時避難所の少女」の目力の強さ、「ふたつの鳥籠にはさまれてテーブルで眠る男」のユーモアさにも立ち止まって見ざるを得ない。
殊「一時避難所の少女」は、非道徳的だけれどちょっとTシャツで欲しいとすら思った。
歴史的な登場人物が時々ふと現れ、
ピントが合っていない写真にこそ凄まじさが迸る。
ノルマンディー上陸作戦の写真は手違いで11枚しか現像されていない。
写真家として、創造されたアイデンティを身に下ろしていく過程を50分で見るのは、やはり早すぎるなぁ。たぶん倍ぐらいな時間が必要なんだろうなぁ。
面白くて辛い時間。