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作品名記述者記述日
サンマデモクラシー唸るバクテリア2021/09/09★★★★

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なに見に行くべかなぁとチェックしてたら素っ頓狂なタイトルの映画を見かけたので、脊髄反射的にポチってしまった「サンマデモクラシー
ビックリな快作。まさか今年一番泣いた映画ですらあるドキュメンタリー。
たまにはノリと勢いで映画選ぶ自分を褒めたい。
主題である玉城ウシさん(たしかに佐藤栄作似てる)の話がズバ抜けているのはもちろんだけど、もうちょっと掘って欲しかった感はちょっとある。
たとえば、フィリピンへ行った妹が何故日本軍に殺されたのか?は、本編と通底するテーマなのでハッキリ打ち出す必要があったはずなのだ(インタヴュ記事をいろいろ読んだところ、調査したけどわからなかったらしい)
敵は、アメリカであり日本であり、傲慢な権力なのだから。
けどまぁ、仕方ないのかなぁ・・・なにせ、うしさん亡くなったのは1980年だもんなぁ・・・
でなければ、劇中最後に米軍基地を出すのが弱くなる。劇中でインサートされているとおり、翁長元知事が「キャラウェイ」の名前を引き合いに出したから米軍基地へ繋いでいるのはわかるのだけど。
そして、翁長元知事が言った「キャラウェイ」をガースーは理解できなかっただろうけど。
ガースーは政治家ではなくて、実務家だったんだよなぁ・・・
閑話休題。
でも、それ以外のバランスは見事。
もうちょっと登場人物各人の声が聞きたかったけど、残ってないだろうことは想像がつくし、いやいや、映像がアレだけ使われているだけでも喜ぶだけじゃないか!
だって、アメリカ統治下でアメリカを訴えた「サンマ裁判」だぞ。
オマケに、完全にミスを突かれたからアメリカが屁理屈という名の駄々を捏ねたけど裁判官は全否定して、結果として、ウシさん勝ったんだぞ。裁判。
つまり、沖縄はアメリカに勝ってる国なんだよ。
もうちょっと言おう。
この映画を見ていて気づいたのだけど、真っ当な民主主義の力で、アメリカから独立した唯一の国が琉球なのだ。
ただ、独立国ではなく、日本を「祖国」と信じる人たちが旗振ったため、日本なんぞに復帰してしまったことが問題なのだ。
琉球は琉球であれば良かったのに・・・(中国に併合されるというのはありうる話ではあるが、台湾と同様陸続きでないのは強い)
閑話休題。
うちなー噺家の志ぃさーに進行を任せたのは、最初、上述の通り、各人の声が聞きたかったので「どうなの?」って気になったのだけど、こうでもしないと話を進められなかったのだろうことは請け合いで、なにせ、主人公たる玉城ウシは写真しかない。
親族は沖縄で魚屋を続けてたけど、ウシさん本人の位牌は柴又にあるのだから。
いやいやしかし、志ぃさーが進行していたからこそ、最後、柴又で志ぃさーがお参りする最大の泣きポイントがやってくる。
アレは泣くよ。ずりぃ。
でさ、出てくるヤツらが沖縄人がみんなカッコいいんだよ。
ウシさんはもちろんのこと、ウシさんを弁護したどころか、最後のオチ的に、見事なオチを持ってきた下里恵良 a.k.a 下里ラッパ。
んで、ネームヴァリュがもともとある瀬長亀次郎。
ウシと亀がいて、「第2サンマ裁判」(第2があるのだ!)とともにアメリカへと裁判移送された友利裁判の友利隆彪に、裁判移送に不服を訴え、署名を提出した裁判官(あの署名は沖縄県立博物館が預かるべき)や、高等弁務官の就任式で「最後の高等弁務官」となることを祈った平良修(ご存命!)に、「金門クラブ」なんてカッコいい名前の米国留学組に所属して、キャラウェイが「二枚舌」だと立法府を切り捨てたの直接聞いた川平慈英父、川平朝清。
なんで慈英がナレーションかと思ったら、ここで父親出てくるのか!!
いろんなことが錯綜し、時代が時代を巻き起こす。
なんだよ。川平兄弟って、沖縄史で重要人物なんじゃないか。
北方民族であるU・Bにとって、初めて知る事実ばかりが並ぶけれど、これはとても今の映画だ。
「日本が美しい国」と言いたがる人たちは、常に日本の権力者が謀ることを見て見ぬフリするけれど、一揆だとか米騒動だとかサンマ裁判だとか、必ず謀る権力に対して、リアルな理由で刃向かっていく。
近い将来、なにかリアルな理由で、地方が刃向かう予感をなんとなく抱く(空虹さんはそっち派だよなぁ)
歴史はいつだって勝者のモノだから、庶民で勝ってしまったウシさんは自分を記録しないで亡くなってしまった。
話をまとめると。
そんなこと知ったこっちゃないだろうけど。
だから、この映画は残るべきで、これからは向かっていく人たちに見られるべきなのだ。
大丈夫。調子に乗った権力者は必ず凡ミスし、子ども以下な言い訳を並べるって歴史が証明してるんだぜ。
安倍ちゃんだって恥ずかしがらなくていいんだよ。

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