雑感・レヴュ集 メタセコイア
洋画

作品名記述者記述日
ステージ・マザー唸るバクテリア2021/04/09★★★★

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「週刊少年サンデー」の裏表紙に広告出してくる映画は名作の予感!(例「ハスラーズ」)
ってことで「ステージ・マザー」見ました。
なんで、この映画にこんな客おんねん!ってぐらいの客入りなシャンテ。天気か!天気のせいか!?
しかして、隣が空いてたのは救いでした。
それはともかく、スーパーばーちゃん大活躍の、ご都合主義ではあるのだけど、緻密に組まれた面白い映画でした。
が、父親を改心させないの?っていう。
そこは、テキサスのじーさんだからリアルではあるけど、カタルシスとしては弱いというか、そこがクライマックスであって欲しかったという願望?
保守であることの幸せは、じゃあ、じーさんの心理的抵抗が強いだろう「 愛してる 」とまで言って連れ帰ったのにもかかわらず、息子への愛が薄いからって手放すのか?っていう。
俺が、男の子だからこそ思うところではあるのかもしれんけど、話の趣旨として、一番難しい道を行くんじゃないんですか?って気がある。
見捨てるのは簡単だけど、愛が無いのわかってたクセに、答え合わせのだけ戻るのは薄情じゃないのか?
もちろん、理解できない人は切り捨てろ!ってのは合理的なんだけど、じゃあ、エンパワーメントが当人にしか届かないなら、エンパワーメントの価値は薄いぜ。
キリスト教原理主義とは永遠に折り合わなくていいのか?って気になる。
そこ、逃げていいの?
おそらく、旦那は「理解はしても受け入れはしない」って考えてるのわかんだけど(何気に名演ですぜ)、その穿たれた穴を広げなくていいのか?
面白い映画なんだけど、ずっとそこが引っかかってしまった。
ある意味、この点はご都合主義じゃないというか、ここだけ凄まじいリアリティ。
93分に収めるためには致し方ないんだけども。
実在するカストロ・ストリートがLGBTQ+コミュニティのメッカという捻くれた事実(カストロという無比の社会主義者と、社会主義から遠いLGBTQ+)が、何気に結構ミニスカートを穿いてローアングルな太ももカットが多い、老いらくの恋も楽しむメイベリン(化粧品ジョークに俺だけが笑うカオス)ともども、セクシャリティというか、「性」とか「色恋」に対する欺瞞へアルティメットに対峙する。
ウィットに富んだ会話や連発されるアイロニィが、殺伐にせず、ちゃんと笑いに包む。
この辺は本当にお見事。
あと、パンフのブルボンヌのレヴュは流石です。山縣みどりのも良い解説。
ラス前の、ジョアンだっけ?ピアノの上で唄ってる曲が素晴らしかった。

にしても・・・なんて綺麗なサンフランシスコ。
あれはサンフランシスコ行きたくなる。
明媚な朝が映される度、メイベリンにとって、事態が好転する。
だから、最後に朝は描かれない。これ以上は好転しない。
未来はどこだ?

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