今年公開で、見なければならない映画のひとつなのは言うまでもない「
関心領域 The Zone of Interest」見ました。
感度が高い人たちと見た方がいい映画かと思いシャンテに足を伸ばしたら、
パンフは売り切れてるし、
はじまってから入ってくるヤツらは気を遣わないし、そもそも入り口がスクリーンそばだから
オープニングの真っ暗さが邪魔されるしで、わりと残念な感じでした。
いいのか?シャンテがそんなんで(入り口はどうしようもない)
閑話休題。
変な映画だったぁ。
というのが第一印象。
そのあと呑みに行った後輩のバーで、呑み友達も「関心領域」見た帰りだったのだけど、同様に「変な映画」というのが見解でした。
もちろん、聴覚を積極的に刺激しに来てるのは如実だし、なにより、あのエンドテーマが
最低で最高だけど、一切、ユダヤ人を見せない間接表現で、しかし、そこに存在し、虐殺されているのはわかる映像は見事に尽きる。
いや、
見事とかいうの厭だけど。
しかも、ナチスと周辺のドイツ人の当時の非人っぷりや、日本人はこの頃ロクなモノ食べられず痩せ細らえておりましたと思えば、あのパーティや軍人のデブっぷりって、兵糧戦に持ち込まれた日本の惨めさなんかも痛感するのだけど、いやいや、細部がちっともわからん。
カナダの件とかは、
アトロクで聞いてたので、そゆこと?とか思ったけど、聞いてても、
歯磨き粉の中に隠されたダイヤを自慢するグロテスクさはなんだ!という。
ヘートヴィヒ・ヘス as ザンドラ・ヒュラーの「今」に固執する感じは、本当に人間のグロテスクさを見つめている感じが凄い。
実際、森直人もこの映画を「グロテスクと」形容する。
そのクセ途中、何故か暗視カメラ映像が入って、なにかと思ったら、日中なんか山リンゴ?をあえてばらまいて、ユダヤ人で奪い合いさせるゲスや、メイドと浮気セックスしたあとに、
何故か地下室でチンコ洗ってる滑稽さとか、植物室に弟閉じ込めて喜ぶ兄とか、全体的に説明されないので意図があるのかないのか理解しきれず、その際たるところが、(気のせいでなければ)アウシュビッツ離れた途端に、パキッと、まるでビデオみたいな映像になったところ。
そこから先はずっとそんな画面で、アウシュビッツの家族も撮されるのだけど、何故映像が変わったのか理解できず。
いや、ちょうど眠気に襲われたせいで、なんか見落としたのかもしれんが。
ただ、まさかあんな映像がインサートされるとも思わなかったんで、アレなんだが・・・アレを見るとやはり一度行かなくちゃな・・・
あの感慨は、原爆資料館とひめゆりの塔でしか感じたことがないのだよ・・・
階段の嘔吐きも、嘔吐シーン!?思ったら嘔吐いてるだけだし、インサート後は時空が歪んでたからなぁ・・・
ってところで、アトロクのネタバレを聞いたところ、えっ?あの暗視カメラシーンは実話ベースなの?リンゴは悪意じゃなかったの!?健康診断はそゆことなの!?!?!?と。
終止映像はパキッとしていて、それは現在と地続きだからとか、なるほどと膝を打つ。
とはいえ、その突きつけ方、言うは易だなとも思う。
西洋人が勝手に殺し合いをする中で手を伸ばそうとするのは、その前に、アジア人としてアジアに手を伸ばせよというのは繰り返し思うところ。
なお、自分でもビックリするぐらい役者の見分けがつかなかったので、ポーランド作戦会議の会議室シーンは、ちっとも誰が誰だかわからなかったのでした。
アレは・・・誰?みたいな。
ルドルフ・ヘス as クリスティアン・フリーデルのツーブロックというか、側頭部刈り上げはナチスの正当な格好だって話なので、であれば、日常遭遇する側頭部刈り上げは不謹慎だ!みたいな感じにもなる。
どうして世界ユダヤ人会議はバッシングしないのか?
とはいえとはいえ、ナチスのグロテスクさは、やはり、吐き気しかしないね。
これを映画館で見ることの正しさと、歪んでいる感にホンノリ苛まされるのだ。
ただ、あの音は映画館か、あるいは無茶苦茶音のいいホームシアターで見るしかない。