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作品名記述者記述日
トゥルーマン・ショー唸るバクテリア2003/02/10★★★★

以下は、U・Bが某講義のレポートとして提出したものを加筆修正したものです。
だから、間違ってここ見つけちゃったとしても勘違いなさりませんように>某H講師(UP時)

 主人公トゥルーマンはハリウッドに作られた巨大なドーム内のシーヘブン島に生まれ育ち、毎日24時間その生活を全世界17億人に生放送でさらし続けている。だが、本人はそのことを知らず、いくつかの事件からその事実を悟り、外の世界を目指す―
 そんな映画「トゥルーマン・ショー(原題:THE TRUMAN SHOW)」は1998年、アメリカで制作された。主演は1994年に「マスク」「ジム・キャリーはMr.ダマー」「エース・ベンチュラ」と立て続けにヒットを飛ばし、一躍アメリカ喜劇界のトップに踊りでたジム・キャリー。プロデューサ役で登場するエド・ハリスの怪演が光る。
 「シーヘブン島」という虚構の現実の中で、唯一の真実は、その名前からしてわかるように主人公トゥルーマンその人である。30年間という時を彼はその町で過ごし、それを17億という数の視聴者が見続けていたのだから、これほどの数に裏付けされた客観性はまず無い。
 しかし、それはあくまでトゥルーマンにとっての真実でしかない。たとえば、トゥルーマンがシーヘブン島を一礼ののち脱出したあとのことだ。それまで『トゥルーマン・ショー』というTV番組を見続けていた警備員がTV情報誌を手に取るや「他に何か面白い番組あった?」と同僚に尋ねるのである。つまり、彼らにとってトゥルーマンの人生はTVの一番組。消費するショーにすぎないのだ。そしてなにより、このシュールさは映画の随所に発揮されている。冒頭、照明のライトが空から落ちてくるのにはじまり、立ち位置の決められたエキストラ、一瞬でサーチライトと化す月、至る所に組み込まれたコマーシャル。トゥルーマンの乗ったヨットは、最後舳先を壁にぶつけて止まり、そこには都合良く出口となる階段が配置されている。
 だが、誰よりもこの島で虚構を演じているのはトゥルーマンその人である。大学時代の恋をターニングポイントとして、ずっと自分の置かれた現実を疑いながら、それでも毎日隣人と同じ挨拶を交わし、おなじ店で同じ新聞を買い、同じ時間に出社する。これらトゥルーマンが演じ続けた虚構は、TVの前の視聴者ではなくスクリーンやヴィデオ、DVDを介して「トゥルーマン・ショー」を見ている観客、つまり我々の目の前に直接現れる。何故なら観客は一様に見終えたあと、まるでトゥルーマンのように世界中の人から見られているのではと戸惑う。そう、自分にとって今まで現実だったはずの世界が揺らぎ、虚構と化す。
 漫然と繰り返す毎日の中、一観客として「トゥルーマン・ショー」に正対した観客は、「たくさんの等しい本物」すら虚構だと突きつけられから戸惑うのだ。

 にしてもだよ。「虚構」と聞いたとき、最初に頭に浮かぶのが「COWBOY BEBOP 天国の扉」とか「WXIII 機動警察パトレイバー」とかなのが自分でもなんだかねぇ〜


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