作品名 | 記述者 | 記述日 | 星 |
ヨコハマメリー | 唸るバクテリア | 2006/10/26 | ★★★★★ |
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この映画は、たしかに横浜の伊勢佐木町に立っていた娼婦の物語だ。
同時に、この映画は横浜史画である。
なにより、この映画は永登元次郎の物語である。
パンフを読んでいる限りでは、純粋に「メリーさん」を取り上げることを主眼にしていたこの映画が、どうして「永登元次郎」の物語となったか?
1つには間違いなく、そこに人間が存在しているか否かがある。
「メリーさん」が横浜からいなくなった以後からこの映画はスタートしているから、必然、間接的に「メリーさん」を描くことしかできない。
その際用いられる最初の手法は、今いる人から、映像だったりコメントだったりを集めることだ。
だが、残念なことにこの手法で集められた情報は断片過ぎて、そのままでは使い物にならない。
だから、編集する。
なにかを編集するとき、もっとも容易にかつしっかり仕上げるのは、なにかのストーリィを用意することだ。
たとえば、根岸屋にまつわる強烈なエピソードや、混血児にまつわるエピソード。そしてなにより、永登元次郎の人生だ。山崎洋子が混血児たちを総称して「メリーさんの子供たち」と呼んだのと同様に。
戦争が苛烈で悲惨で不幸しか招かないとしても、ラストシーンのメリーさんはとても美しい。
きっと、彼女はとびきりの恋をしたのだろう。
すべては愚かな戦争のせいだ。
しかし、そのおかげで出来たこの映画はとても良い映画だと思う。
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