空虹桜>EAST END × YURIのアルバム「denim-ed soul 2」(※1)を語る後編は7曲目
「GREEDY G」からスタート。
U・B >で、話を振られても、俺メインじゃないから困るんだけど、とりあえず8曲目「GREEDY B」と、対になっ
てる曲で、おそらく「G」は「Girl」で「B」は「Boy」の略。
空虹桜>たぶんね。「GREEDY」には「貪欲な」とか「ガツガツした」みたいな意味があって、いいよね。
この両曲は。SDP(※2)が男onlyなのに対して、EAST END × YURIが男女2MCの甲斐がある。
U・B >色恋のラップって当時のシーンにはあんまなかったハズなんだけど(※3)、そこをきっ
ちり男女で描き分けてて、なんだ同じじゃんと。
空虹桜>ちょうどジェンダ論とかが一般に理解されるよになった時期でさ、きちんと女性が
女性の立場で、男性の欲望する女性性じゃなくて女性にとっての女性性を表に出して
文句言われなくなった頃合い。
U・B >もっと前から言ってる人はいたし、やってる人もいたけど、たしかにこのあとにSILVA(※4)が出てきて
持て囃されたりな。
空虹桜>SILVAは一回やってもいいよね。今どこにいるのか知らないけど(※5)。
U・B >そッスねぇ〜。なんかそうやってみると、このアルバムが出た1995年ってなかなかターニン
グポイントなんじゃね?
空虹桜>SDPでいえば「サマージャム'95」なんだけど、改めてみるとビビるよ。1995年って。阪神大震災
と地下鉄サリン事件。
U・B >え〜、同じ年?
空虹桜>HipHopが一般に認識されて「まいっか」とか「だよね」とか流行ってるスキに社会事変があ
り、んで、Windows95が出て、世の中がデジタルへ移行していく。
U・B >あとアレか。エヴァか。95年。うわ〜、そんなご時世に中学生やってたの?俺ら。(※6)
空虹桜>ねぇ。こっちのがよっぽど恐怖の大王だよね。なに?この混沌。
U・B >実はあと30年もしたらスゴい時代を生きた世代なのカモな。俺ら。
空虹桜>まぁ、ただ過ごしただけならなんの意味ないけどね。
U・B >あいたたた・・・曲の話あんましてないけど、次が「Throw Ya Hands」で、「denim-ed soul」(※7)同
様にHipHop然とした曲。
空虹桜>YURIが男に子負けるなリリックしてから(※8)、いったいどれだけ時が流れたことか。
U・B >しかもここで出てくるのが「RHYMESTER」に「MELLOW YELLOW」に「RIP SLYME」
空虹桜>盟友に後輩後輩と。一番最後に出てくる後輩が今じゃメジャシーンのど真ん中だったり。
U・B >スチャダラってこの手の曲作んないじゃん。リップとかってどうなの?
空虹桜>アタシに訊くな。アタシに。そこは専門じゃない。
U・B >たしかに。話変えて10曲目が「When we fall in love」で、また恋バナ。
空虹桜>しいて言えばHipHopストレートと恋愛モノとネタモノの三種混合で、ネタモノで売れたグループだけど、
そこはきちんとできるっていいんじゃない?
U・B >ええまぁ。それで終わりですか?
空虹桜>「GREEDY」2曲と比べるとね。
U・B >個人的には「等身大」とか言って売れてるのが2・3曲あるけど、今さらだよなぁって話が・・・(※9)
空虹桜>勝手におし。それよりも次の「何それ」!SDPにしろEAST ENDにしろここの着眼点はズバ抜
けてて、今頃時代が追いついたぐらいのことRapしてるじゃない。
U・B >曖昧にブラックボックス化してく日常みたいな?日本語的にもどんどんア
バウトになってくっていう。
空虹桜>やっぱり重要なのは、とくにHipHopなんて社会と対峙する音楽なわけじゃん。すると着眼点とか
視座とか視野とかが人とどれだけズレてるかに価値が生じるわけで、だから若い子の
HipHopってそこまで楽しめないんだよね。
U・B >縮小再生産になりがちだからな。でも、お前の書いてる原稿とかも縮小
空虹桜>殴るよ。
U・B >ゴホン。アレだ。そのズレってのは別に特異である必要はなくて、日常自体が既にズレてん
じゃね?って提案でも充分OKだってのが誰もがご存じ「DA.YO.NE」
空虹桜>上手いこと持ってたなぁ。ちなみに、余所のスタンダードをフォーマット違いに持ち
込むってのは、縮小再生産に過ぎなくても、既にフォーマットに住んでた人たちにとっては特異で価
値が生じるから。そこよろしく。
U・B >すみません。抽象過ぎて理解できません。
空虹桜>字面だけ覚えてりゃいいから。
U・B >・・・えっと、既にデビュウ曲にして、とてもフロアを意識してわかりやすい曲になっ
てると思うのだけれど。
空虹桜>なに?その音楽誌的口調。
U・B >そこ?ツッコミ。
空虹桜>最後13曲目は「SO LONELY (instrumental)」だから端折っとくとして、やっぱりこのアルバムと
いうかユニットが存在していて、1枚フルアルバムをリリースしてたってのから目をそらすのは誤
りだと思うし、それで硬派ぶってたりハードコアぶってるなら、豆腐の角に頭ぶつけて死ん
じまえって思う。
U・B >不意にそうやってオールレンジ攻撃しないでください。
空虹桜>でも、真面目な話として、なんのためにHipHopを選択してるのかわからないKIDSが多くて虫酸が走る
んだけど、ジャンルとしてHipHopは過去参照性が大きいんだから、リスペクトを口にする前
に、先ず行動でリスペクトを表現しなさいっての。その対象として日本ではこのア
ルバムが位置づけられるだろうし、このユニットより大きな影響力を持つHipHopグループは未だ日
本には存在しない 。(※10)
※1 EAST END × YURI:HipHopユニット「EAST END」が元々友達だった東京パフォーマンスドールの「YURI(市井由理)」と遊び半分で作ったユニット。EAST END:1990年結成。GAKU-MC・ROCK-Tee・YOGGYの3人組HipHopユニット。1MC2DJってのもわりに珍しいスタイル。なお、リンク先はEAST ENDのオフィシャル。今回話してるアルバムの1曲目から6曲目に関してはこちらを参照のこと。
※2 SDP:ご存じ空虹が大好きなHipHopグループ「スチャダラパー」の略。
※3 今は多すぎ。ウザい(by 空虹)
※4 SILVA:ソウル・ファンクあたりにカテゴライズされそうな女性ヴォーカリスト。代表曲としては「Morning Prayer」「ヴァージンキラー」等
※5 結構本気で現在情報募集中。ご存じの方はメールください。
※6 当時14歳。ヒロトが「リアルよりリアリティ」と唄う多感な年頃。
※7 denim-ed soul:今回紹介してるアルバム「denim-ed soul 2」の6曲目。
※8 拡大部は歌詞より引用。リリック:詞。ミミックではない(笑)
※9 当方、「湘南乃風」どこがいいのかが1nmも理解できません。
※10 空虹桜40行。U・B28行で、まぁ当然のように俺の完勝。気持ちはわかるけど、最後の空虹さん発言に対して「だから?」とか「それで?」とか言わない。長くなるから(笑)