U・B >諸々検討してみた結果、今月だったかNEWアルバムも出ることだし、そろそろ行っといてもいいんじゃね?
ってことで、俺の番はしばらくTHEイナズマ戦隊の話をしようかと。(※1)ちうことで、1stアルバム
「勝手にロックンロール」を語る前編。
空虹桜>そこで語られていない逡巡には、なにかドラマツルギーが隠されてはいないのですね?
U・B >ごめん。それ、スゲェ意味わかんない。二重否定?
空虹桜>えーと、1曲目「いばら道」熱い人たちですね。
U・B >なぁ。そこがいいし、そこが売れない理由だとは思うんだけど、この手のバンドって1st
アルバムが一番デキが良くて、勢いで録れちゃうからじゃないかとは思うんだけど、
たとえばこの曲でいえば、サビのいばらの道を 裸足でゴーだ マジだぜ!!(※2)って、
もう勢い以外のなにものでもない。
空虹桜>ハイハイ。続く2曲目が「ロックンロールを取り戻せ!!」で、出てくる歌詞が俺の中でヌ
ルイ詩がひびく(※3)と。
U・B >自分で「増子チルドレン」(※4)とか言っちゃうぐらいの丈ちゃん(※5)だから、色恋をウダウダ唄うよりも唄
うべきことがあるっていうな。
空虹桜>絶対あの娘に言われたセリフって実話でしょ?
U・B >でしょう。一個は絶対。
空虹桜>リーゼントがあり得ないのは、「天使なんかじゃない」の昔からの話(※6)だからね。
U・B >異議アリ!むしろ「天ない」の晃でリーゼントに目覚めた女の子を何人か俺は知ってるぞ!
空虹桜>いいの。翠ちゃんはそう言ってるんだから。3曲目が代表曲「応援歌」たしかに迫力のある一曲。
U・B >生でこれ見たら、やっぱ打ちのめされちゃいますよ。しかも、なんか世間一般の応援歌的なの
と決定的に違うのは、いろんなとこで書き散らかしてるけど、お前ががんばれ。俺は
見てるっていう、徹底的に他人他人した立ち位置なとこなんだよ。
空虹桜>手も口も出せないし、力にはなれないけど、でも、見てるからっていう。
U・B >応援するだけならこれが限界で、なにかをしてやれるならもう既にそれは応援じゃな
いんだよな。だから、この曲初めて聴いたとき、コイツホントに応援されたことあるし、
ホントに応援したことあるんだろうなぁって。
空虹桜>ああ、そゆ人が見ててくれるならがんばれるだろうし、そゆ人が見てるからこそ挫けてなんかいら
れないってのはあるかもね。
U・B >そう、だからさ、この曲を聴いたとき、贈りたい誰かが思いつくヤツはスゲェ幸せな
んじゃないかなぁって。もし、そゆ友達なりなんなりがいたのなら、そいつとの関係はなにが
あっても絶っちゃいけない。
空虹桜>熱いねぇ。4曲目「熱い涙ロック」ここまで来るといい加減ウザいけどね。
U・B >ウザい言うな。ウザい。10年後 同じこの道の上を 歩いてなくとも変わらずに
いよう(※7)とかいうバンドの曲がウザくなきゃ嘘だろ。むしろ。
空虹桜>まぁ、たしかに。あっ、今気づいたけど、この曲アレだね。なんか「応援歌」のBサイドみたいな感じだね。「応
援歌」がも一回夢に向かい直した人への曲なら、「熱い涙ロック」は向かい直さないけど、今を必死で生きよ
うとしてる人への曲。
U・B >なるほど。離れてしまっても、お前にはロックの血が流れてるじゃないか!的なだ。
空虹桜>うん。でも、その文脈ってなんか巨人愛とか緑の血が流れてるとかみたいでやっぱ気持ち悪い。
5曲目「オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ」
U・B >たぶん、このアルバムで一番好き。おそらく、10代でも30代でも40代でもこの曲は書けなくて、20代の半ば
で、前と後ろが適度に見えて、後ろ指指されてる時じゃないと唄えない曲だから好き。
空虹桜>屈折してるなぁ。
U・B >でもそうじゃん。他のどの年代で唄っても嘘なんじゃねぇかなぁと。加えて、リスナとしての俺
が、この曲に出会ったのがちょうどその年代だからってのもある。前にいる40代にも30代にも、
後ろにいる10代にもがむしゃらに情熱燃やして欲しい(※8)。だから、20代の俺はそうやっ
てに生きようと。
空虹桜>熱いねぇ。
U・B >不完全燃焼ライフを送ってるからどうしてもねぇ。
空虹桜>ホント屈折してるなぁ。次、今回紹介する最後は「丈ちゃん元気でね」で、この丈ちゃんってヴォ
ーカル?
U・B >だしょう。じゃなきゃ嘘じゃん。んでもって、この曲やっぱり冒頭のセリフがたまらんでしょう。
空虹桜>屈折っていうか、病んでるね。完全に。
U・B >だって、この感じ、どう聴いても、好きだけどダメだから離れるパターンじゃん。あんさん、
このパターン大好物やん。
空虹桜>どこからおいでの方ですか?
U・B >北海道の真ん中当たりにある赤平っていう冴えない破綻しかけた町の出でして。
空虹桜>いや、そこでリアルな回答いただきましても。
U・B >前半6曲目にしてようやく出てきたラヴソングなんだけど、でも、ラヴソングっていうよりこれも
応援歌になってるっていう。もちろん、好きだから応援してるんだけど。
空虹桜>つまり、応援歌とラヴソングは構造が似ていると?
U・B >いや、そこまで抽象化する気はないんですけど。ただ、根底には自分自身の無力さを知って
いるかどうかがあって、そこはやっぱり「情けない男歌」(※9)を唄ってしまうところに通じてるかと思
う。っていうか、完全に他者としての応援歌って、古典的な日本男児像からすれば確実
に「情けない男歌」だと思う。
空虹桜>自虐ではないんだよね。
U・B >うん。自分が無力だからこそ唄えるのが「情けない男歌」だし、それを越えて心を揺さぶるの
がロックンロールなんじゃないかなぁって。
空虹桜>まとめっぽいなぁ。
U・B >うん。ただ、アルバム構成上ここまでの曲はちょっと濃すぎるんだよね・・・(※10)
※1 Vo.上中丈弥(基本全曲作詞)、G.山田武郎、Ba.中田俊哉、Dr.久保裕行の四人組ロックバンド。ドラム以外の3人が大阪出身で、ドラムだけ北海道出身という異色な組み合わせ。詳しくはオフィシャル参照。あと、メタセコにRSRでのレポをU・Bが書いてます。あと、2007/1/24に4thアルバム「熱血商店街」発売。
※2 「いばら」以下の拡大部は歌詞より引用。
※3 「俺の中で」以下の拡大部は歌詞より引用。
※4 増子チルドレン:甲本ヒロト(a.k.a ブルーハーツ&ハイロウズ&クロマニヨンズ)の影響を受けた「ヒロトチルドレン」と呼ばれるよりは増子直純(a.k.a 怒髪天)の影響を受けた「増子チルドレン」だと、なんかの雑誌のインタビュウで上中丈弥が応えていた。北海道のロックバンドは増子チルドレンが多いのだけれど、ここら辺は話すと長くなる。
※5 丈ちゃん:ヴォーカル上中丈弥の愛称。なことは、このあとを呼んでいただければすぐにわかる。
※6 天使なんかじゃない:世間一般では「NANA」でブレイクしたと思われがちな矢沢あいが「りぼん」で連載していた漫画。U・Bが初めて全巻揃えた少女漫画としても有名。主人公の恋人「須藤晃」がリーゼント。ここでこの単語が登場するとは思わなかったので、ヒドく焦った(苦笑)
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 拡大部は歌詞より引用。活用形が違うことなってるので、変なとこで拡大が切れてます。
※9 U・Bが提唱する、情けない男を唄った曲の総称。カッコいいより先に情けないとかカッコ悪いが来て、それが一周して格好良くなるバンドの曲といえば、すこしはわかりいいか?
※10 空虹桜25行。U・B45行(!)で、俺の完敗。喋ったなぁとは思ったけど、数えてみたら喋りすぎた。