第375回 球体の奏でる音楽(前編)

U・B  >RSRの予習期間中に他のCDを聴かないための予習企画だったハズ(※1)なのに、慌てて先月やってしま
       い、陽気なサザヱさん状態であることに今週気づいたわけですが、
空虹桜長いよ!
U・B  >まぁ、わかってくっちゃべってたわけですが本題。小沢健二※2)特集の第5回は3rdアルバム「球体
       の奏でる音楽
空虹桜>いちおーフォロウすると、小山田君もスチャダラもいるのに小沢君だけいない!※3
U・B  >それでフォロウになってるんでしょうか?とりあえず1曲目「ブルーの構図のブルース
空虹桜駄洒落かよ!
U・B  >先言わないでください。
空虹桜>絶対言いたがってるだろうことは想像ついてるからね。あと、さっきのフォロウの続きすると、このアルバム前
       後編に分けると今回実質3曲だから。
U・B  >えっ?ああ、たしかに。次回は実質2曲だ。なら、今回一回で全部済ませちゃう?
空虹桜>そんな余裕あるならいいけど。
U・B  >・・・すみません。2回で行かせてください。
空虹桜>でまぁ曲は、ブルースというか普通にジャズ
U・B  >空虹さんがブルースとジャズの厳格な違いを理解してらっしゃるかは置いとくとして、なんかもうポピュラソ
       ングなんて唄ってたまるかというか。
空虹桜>スゴいシニカルな聴き方をすれば、「LIFE」(※4)で十分生きれるだけの金は稼いだから、青
       い海とか見ながら尾道までなんて一人旅としゃれ込んで、ブルースだって歌えるぜと。
U・B  >なに?そしたらこれはリスナに対するイヤミかなにかですか?
空虹桜>みんなあくせくして大変だねぇと。実際、このあとさらに遠くへ行っちゃうわけだし。
U・B  >たしかに、1人でいたい訳 誰にもきっとあるもの※5)とか言っちゃってるしな。次2曲目
       が「大人になれば」で、尾道を抜けて世界へ至る
空虹桜>1曲目よりはこっちのブルースっぽいと思うけどなぁ。
U・B  >歌詞に「ブルース」入ってるかとかじゃなくて?
空虹桜>っていうか、ブルースってなに?
U・B  >だから、そゆ音楽的な言及を避けるのが、このレヴュの基本コンセプトじゃないか。とりあえず、ジャ
       ズの基本要素の一つがブルースだから、ジャズっぽいってのは間違っちゃいないけどね。
空虹桜>なんだか、やっぱりその上から目線ムカツク。
U・B  >そこでムカつかれましても。それよりも本題を。
空虹桜>結局、「ブギー・バック」(※6)ではただのヤンチャ小僧だったのが、なんか思春期来てちょっと
       大人ぶりたいって感じだよね。
U・B  >タイトルマンマってツッコミは置いといて、ウッカリして甘いお茶なんて飲んだり カッコ
       つけてピアノなんか聴いてみたり※7)って見栄なんだろうな。キット。
空虹桜>うん。なんか中途半端だもんね。引き合いに出てくるガジェットが。で、たぶん小沢君にとって大人
       の象徴がブルースなんだと思うんだ。
U・B  >そそ。そゆ話をして欲しかったんですよ。
空虹桜>そこでそういう相づち打たれても困るんですけど、結局、あくまでも子どもが描く大人像を体現しようとしてるよ
       うに見えて、王子様キャラが逆投影されてるように聴こえてくる
U・B  >具体的には?
空虹桜夢で見たよな 大人な感じ?※8)で端的に出てると思うんだけど、「夢」が何度も出てくるで
       しょ。当然「夢」は「現」じゃないし、「夢」の体現を許されるのはそれだけの権力を持ちうる人
       間だけなんだよね。つまり、王子様
U・B  >ところが3曲目に「Ale?
空虹桜>まだ身丈に合ってないんだよね。背は伸びるし声も変わる
U・B  >俺みたいに変声期来てもほとんど声変わらなかった人間もいるけどな。
空虹桜>アンタの場合は、もともとがハスキィだからね。ただ、小沢君の場合も似たようなもので、大人の声が欲しかっ
       たんだろうなぁとは思うんだよね。あとから振り返れば
U・B  >はいはい。その話はとりあえずその時が来たら話すとして、最後4曲目が「ホテルと嵐
空虹桜>小沢健二論の頻出タームであるところの「魔法」なんだけど、ここでは珍しく、まったくもって陰気な歌詞の中で
       自分の無力さの象徴として使われている。おまけに曲は明るい
U・B  >それだけ聞くとサイケだなぁ。
空虹桜>でも、実際曲聴くとそうでもないよね。
U・B  >うん。
空虹桜>なんだろね?この曲が一番特異だと思うんだけど、無力であって良かったというか、
U・B  >王子様じゃなかった
空虹桜>ああ、そうか。そうかも。それは明るい絶望たり得るよね。
U・B  >無敵感とか全能感は幻想でしかなくて、普通は思春期でも過ぎればそれを懐かしむモノなんだけど、
空虹桜>小沢君は30手前にしてようやく受け入れた
U・B  >そうかそうか。だとしたら「LIFE」にあった童貞感もそこと結びつけれるカモ。
空虹桜>だね。「魔法」や「夢」に対してもそうだし、「王子様」であったこともそうだし、なにより、「Eclectic」(※9)まで6
       年かかったのを平易に説明できる。
U・B  >たしかにたしかに。明るい絶望によって無敵感を放棄してしまったら、丸腰な自分に気づいたと。
空虹桜>そうなったらなにもできないし、べつにそれが不幸でもないんだよね。(※10


※1 先走って3週間前にやってしまいました。たぶん、その頃はフジロックに浮かれてたのだと思います。
※2 小沢健二:家族が絡まないと人前に出てきてくれないお坊ちゃま。元フリッパーズ・ギターの人というと怒る人。
※3 小山田君:Corneliusの中の人こと小山田圭吾のこと。元フリッパーズ・ギターで元小沢君の相方。 スチャダラ:空虹さんが大好きなスチャダラパーのこと。んでまぁ、2007年のRSRにはCorneliusとスチャダラパーが出演と。詳しくはオフィシャルか、U・B主催のまとめサイトへ。
※4 LIFE:小沢健二の2ndアルバム。当サイトでのレヴュについてはこちらよりどうぞ。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 ブギー・バック:日本のラップのクラシックスタンダードな1曲。詳しくはこちら
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 拡大部は歌詞より引用。
※9 Eclectic:小沢健二の4thアルバム。詳しくはその内クロスフェーダでやりますので、しばしお待ちを。
※10 空虹桜34行。U・B30行で、そりゃの勝ち。で、話の中でも出てきましたが、来週はU・BがRSR行ってるためたぶん更新はありません。空虹さんも金曜に来るとか。


空虹桜HP アノマロカリス > U・Bと空虹桜のクロスフェーダ > 小沢健二 > 第375回 球体の奏でる音楽(前編)
雑感・レヴュ集 メタセコイア > 音楽 > アルバムレヴュ > 小沢健二 > 第375回 球体の奏でる音楽(前編)
空虹桜HP アノマロカリスBANNER
(C) Copyright Unaru Bacteria & SORANIJI Sakura,2007
e-mail bacteria@gennari.net