第518回 鈍色の青春(後編)

U・B  >そんなわけで、野狐禅※1)の1stアルバム「鈍色の青春」(Amazon/iTS)を語る後編は7曲目「さら
       ば、生かねばならぬ」。
空虹桜>ノーモーションで本題に入りましたね。
U・B  >さっきも言ったけど、あんま時間も無いもんですから。(※2)とりあえず、この曲は1番の歌詞が最高に良いんだけ
       ど、愛しい人よ もしも僕が死んだら 僕の死体を指差して いつものように
       笑ってくれないか「見て見て、バカがいるよ!」※3)ですよ。これ、こっちから提示しないでちゃ
       んと言ってくれる娘なんていたら惚れてしまいますよ。まったく。
空虹桜>その前の歌で稼いだ金すべて酒に変えて 焦点の合わない目で君に別れを告
       げる 君は悲しむどころか「パンツぐらい履きなさい」と 意味も無く全裸の僕
       を笑っていたよ※4)とちゃんと突き合わせないと、微妙に文脈が喪失しちゃうよ。
U・B  >最近、こういう切り返しを思いついたんだよ。文脈とか、オタクの発想だよね
空虹桜>ヒドいなぁ・・・それ。
U・B  >やっぱり「情けない男歌」(※5)なダメな人の曲はたまらんのですよ。ちゃんとダメであることが条件だから、ポーズは
       ちゃんとわかるがや。
空虹桜>何弁だよ・・・とりあえず8曲目「首をかしげて…
U・B  >どちらかというと、前の曲からの息継ぎ曲。
空虹桜>わりと否定気味?
U・B  >いや、結構重たくていい歌詞だと思うんだけど、そもそもだ。この世には2つ立場があると思うんだ。1つは捨て曲無し
       で隙のないアルバム。1つは捨て曲を含めて調和の取れたアルバム。この曲については後者のアルバム
       構成のために必要な曲に俺には聴こえる
空虹桜オタクの発想だよね
U・B  >ショートカウンタですか。
空虹桜>言わんとしてることはわかるんだけどね。9曲目「金属バット」なんだけど、この2・3曲はずっと同じよなこと唄って
       るよね。
U・B  >どちらかというと、同じじゃないことをあまり唄ってないと思うんだけど、そこはホラ、「自殺志願者」(※6)にしろ、さっき
       の「生かねばならぬ」にしろ、竹原(※7)のたぶん実体験を元にしてる曲との説得力は圧倒的に違うっていう。
空虹桜>事実は小説よりも奇なり?
U・B  >わりと。だからこの曲も「そんな事をしたら、散る事ができないじゃないか」※8)あたりの強
       さはかなりのもんがあるんだけども。
空虹桜>で、10曲目「拝啓、絶望殿
U・B  >全然今までの筋と関係ないけど、こゆ曲とか聴いてると、ソウルセットがラップグループだったら、野狐禅もラッ
       プグループじゃね?
空虹桜ちげぇよ
U・B  >即答。
空虹桜>間をあけたら負けでしょ。こゆの。
U・B  >まぁ、この曲はむしろフィクションっぽいなぁなんて思うんだけど、ただお前と再会しなくても済むように
       マイクを通してでっかく 聞こえるか 絶望よ!※9)なんて、素晴らしいと思うんだけどね。
空虹桜>でも、11曲目「初恋(アルバムバージョン)」の方が好きと。
U・B  >だって、僕のこの両手は神に祈るためでなく 人生を這いずり回るためにある
       んだ※10)ですよ。これがグッとこないわけないじゃないですか!
空虹桜>そこら辺が完膚無きまでに残念な感じだよね。
U・B  >だって、明日が待ちきれないのが初恋みたいだって言うんですよ。そんな曲を嫌いになれ
       るハズないじゃないですか!!
空虹桜>そんな熱くなられても。最後12曲目「君の瞳は何を見てるの
U・B  >なにげに濱埜君(※11)の曲で、こっちは「風」よりは全然好きな感じ。
空虹桜>好きではない?
U・B  >むしろ、竹原ピストルという人がハードパンチャすぎて、いいパンチなんだけど痛く感じないが正解。
空虹桜>感覚麻痺っちゃってますと。
U・B  >たぶん、レヴュサイト的には麻痺ないのが正解だと思うんだけど、そんなつまらんサイトやる気ないし、そもそも、麻痺
       んないことがレヴュの立ち位置として間違ってると思うし、なにより、叩かれていたいって言えないのはおかしいから、
       ハッキリ言うと、この時のこのテンションでこれらの歌が歌えなくなったって言って、野狐禅は解散したわけですよ。
空虹桜>初期衝動?
U・B  >かな?だから、その意味ではしっかり魂籠もってるんだけど、じゃあ、それがすべてかって言うとそうでもなくて、すくな
       くとも、俺は金持ちのボンボンで女たぶらかしてばっかいた太宰治になんか1nm
       も共感しない人だから、野狐禅に、よりハッキリとしたリアリティと共感を抱くわけですよ。(※12


※1 野狐禅:道都大学社会福祉学部在籍時に知り合った、竹原ピストルと濱埜宏哉の二人組。その昔、NHKの「TR」にだって出演した。2009年5月9日解散。ちなみに、よく考えればiTSに全アルバムあるの思い出したんで、今回よりiTSにもリンクしてます。
※2 第517回が本来更新されるべき週にU・BがARABAKI ROCK FESTIVALへ行っていたため、第518回との2本録りになっております。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 拡大部は歌詞より引用。
※5 情けない男歌:U・Bが提唱する、駄目な男の中でもひたすら情けない男を唄う歌のこと。格好つけてもホントの屑人間でもダメで、適度のダメさ加減を隠さず晒してる歌を指す。
※6 自殺志願者:野狐禅のデヴュシングル「自殺志願者が線路に飛び込むスピード」のこと。1stアルバムの3曲目なので、前回レヴュしております。
※7 竹原:ヴォーカルの竹原ピストルのこと。
※8 拡大部は歌詞より引用。
※9 拡大部は歌詞より引用。
※10 拡大部は歌詞より引用。
※11 濱埜:キーボードの濱埜宏哉のこと。
※12 空虹桜20行。U・B35行で、そりゃの負け。ちょっとツッコミが浅めな部分もあるカモだけれど、忙しさにかまけます。


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