第675回 KISS(前編)

U・B  >アナログフィッシュ※1)のメジャ初フルアルバムの「KISS」を話す前編です。
空虹桜>1曲目は「リー・ルード
U・B  >久々に今回は粛々と進行されるようで。とりあえず、「ルー・リード」は知りません!※2
空虹桜知ってください。もちろん、アタシも知りませんが。
U・B  >ダメな話だなぁ。
空虹桜>ダメなの?アタシ、ロック村の人じゃ無いんだから、良くね?
U・B  >良いですけども、どっちかって言うと、一般教養の部類っぽいですよ。
空虹桜>アンタの一般教養は一般教養じゃないから。
U・B  >よくその手のツッコミ受けますけど、一般教養は一般教養です。それはともかく、この曲の鍵はやっぱり出だしの地球は東
       京タワーにささってて 一部の気分次第で回っているんだと思ってたんだけど※3)かなぁと。
空虹桜東京タワー問題は一度しっかり語っときたい問題ではあるよね。
U・B  >また新しい問題作られました?今。
空虹桜>東京タワーの象徴性はさ、高度経済成長期がバックグラウンドにあるからなんだけど、じゃあ、渋谷系以降の
       んなの知ったこっちゃ無いアタシたちにとって、東京タワーを未だに象徴として掲げるのはなんでだろう?ってのがあっ
       て、小沢君の東京性と小西康陽にある地方性との対比を軸にね。話したいわけですよ。(※4
U・B  >また地方・中央問題ですか。
空虹桜>一番問題意識があるのは、そこですから。
U・B  >さいですか。さて、2曲目にして超名曲「スピード」はNARUTO第10期EDテーマ。(※5
空虹桜>サンタマリア氏(※6)がカラオケで必ず唄う1曲。
U・B  >そういう記憶の仕方ですか?やはり。
空虹桜>やはり。
U・B  >異議しかないですけど、それはともかく、唄いやすいし盛り上がりやすい名曲で、のっけからくそったれなニュースが通りす
       ぎて 君は言葉を無くす 僕の声じゃまるで小さすぎて 君は返事もしない 君が泣いてる
       ひとりで泣いてる 僕はどうする? 僕も泣いてるのさ※7)ですからね。ホント、東電とか糞みたいなニュース
       を見るたび、この曲が頭で流れますからね。
空虹桜>流れやすいよね。
U・B  >トドメがざわめく時代をオレのスピードでぶっとばしてくYeah さんざめく夜もオレのスピードで
       ぶっとばしてくYeah※8)ですからね。健太郎ヴォーカル曲にもかかわらずこの鋭さ。今さらアナログをプレテストソングとか
       言って持て囃すヤツらを本気でぶちのめしたいんだけど、是非ともナルト見てた餓鬼どものトラウマになっててい
       ただきたい曲。あと、この曲のPVがヒドい。
空虹桜>また、ファンとは思えぬ発言。
U・B  >だってもう、見るたび「健太郎www」(※9)みたいな微笑ましさを抱きますよ。ええ。
空虹桜>毒しか無い発言を。さて、3曲目が「Hello(!!!?Mix)」で、若干ミニアルバム版(※10)とアレンヂが違う。
U・B  >俺、耳良くないからだろうけど、そこまで明確な違いみたいのはわかんないッスけどね。
空虹桜>それはともかく、外ないなんか喋る?喋んないなら次行くけど。
U・B  >そね、初期三部作と呼ばれるウチの2曲、「スピード」と「Hello」が続くと無条件でテンション上がるんですよ。すっかり刷り込まれ
       ちゃってるから
空虹桜>2曲とも上がりやすい曲だしね。
U・B  >ええ。そのシンプルさにある狭い世間を笑う巨大な僕の妄想 でかい世界が笑う小さな僕の声※11)な
       んてリアリティが、このバンドのファンをやってて良かったと思わせるんですよ。
空虹桜>はいはい。さて、4曲目「いつのまにか」は盛り上がってきたところからの、箸休め的な。
U・B  >今のアナログではもう出てこないタイプの曲かなぁっていうのは、振り返りレヴュだから言えることだけれど、なんざんしょ、僕は行くな
       ら行こう ひしめく世界へ※12)みたいなフレーズワークに触れると、当時の佐々木健太郎という人の青春みたいなのが透け
       て見えるし、タイトルとは裏腹に決意表明の曲なんだなぁっていう。
空虹桜>ちうか、青春だよね。この感触は。
U・B  >わかりやすい言葉にすればね。
空虹桜>さて、5曲目「Town」で、アナログフィッシュがずっと唄ってる街の曲
U・B  >前にも話したかもしんないんですけど、ソングライタの下岡晃と佐々木健太郎は長野の片田舎出身なわけですよ。(※13)で、下
       岡は留学してたりもするけど、そういう人たちが東京に出てきた時に、世界=街みたいな方程式が成立してしま
       ってもおかしくはないじゃないですか。
空虹桜>まぁ、地球のミニチュア的ではあるよね。
U・B  >そりゃニューヨークとかと比べれば、ワールド感はすくないかもしれないけど、ド田舎とメトロポリスとの比較に比べりゃ差異は小さい。
空虹桜>ご飯食べに行ったら、たいていバイトが留学生とかね。
U・B  >「8 Mile」的なこと(※14)はそこまで無くて、東京のわりと境界線が曖昧だったりする感じとかね。
空虹桜>ホームレスが、ホストやクラブの客引きの隣でビッグイシュー売ってるっていう。
U・B  >サーモスタット いかれてんなぁ※15)て、フレーズは最新のアルバムでリプライズするんだけど、どこか壊れている実感
       はあるけど、それがなんだかはよくわかんなくて、でも、アップアップになりながらも生きなきゃなんないってのは、アナログフィッシ
       ュが現在形で唄ってることで、それが街って視点から唄われてるのは、今、東京のバンドであればこそだと思
       うんですよ。
空虹桜>喋るねぇ。
U・B  >つか、久々に聴いたら「Town」ってスゲェいい曲なんですもの。
空虹桜>ちゃんと覚えておいてください。今回最後の6曲目は「処刑台に立って
U・B  >「Town」からのつながりで聴けば、ここで言う「処刑台」ってこの街で生きるコトじゃないですか。
空虹桜>いや、そんなフリされても困るんですけど。
U・B  >今さら困るなや。
空虹桜一寸先は闇ってことだよね。この曲。
U・B  >また端的に切り返してきましたね。
空虹桜>単純な理解を推し進めれば、ここでの処刑台は無力感の象徴だったりするわけじゃない。
U・B  >おっと、真面目な展開。
空虹桜>いや、これ以上喋る気はないですよ。
U・B  >振り逃げですか?
空虹桜>むしろベルベットパスと。
U・B  >なんだそれ。えっと、たしかに無力感みたいな話ではあるんだけど、単純に無力なだけじゃなくて、まだなにかを言語化でき
       ずに藻掻いてる中で、とりあえず激しい言葉を使ってみたいなところなんじゃないかなぁと。
空虹桜>また、ファンらしくない発言を
U・B  >いやいや、そのまだ上手く言えない感じがいいんですよ。熟成すればいいだけじゃなくて、未熟性の旨さみたいな。(※16


※1 アナログフィッシュ:1999年に結成の下北系ギターロックバンド。長野県下伊那郡喬木村出身の下岡晃(Gt&Vo)と佐々木健太郎(Ba&Vo)に斉藤州一郎(Dr)を加えた3ピースバンド。
※2 ルー・リード:アメリカニューヨーク州ブルックリン出身のミュージシャン。Wikipediaによるとボブ・ディラン、ドアーズのジム・モリソン、パティ・スミスなどと並び、アメリカン・ロックにおける芸術性、ひいては文学性のイノベーションと向上に多大な影響を与えた音楽家の一人らしい。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 小沢君:オザケンこと小沢健二のこと。オザケンの東京タワーといえば、「ぼくらが旅に出る理由」とか「ドアをノックするのは誰だ?」とか。小西康陽:元ピチカート・ファイヴの中の人。ああ見えて札幌南卒。ピチカート・ファイヴの東京タワーといえば「キャッチー」だけど、むしろ「東京は夜の7時」のPV
※5 NARUTO:岸本斉史による日本の漫画。
※6 サンタマリア氏:U・B空虹の高校のクラスメイト。他に必ず唄われるのはザ50回転ズの「MONEY!MONEY!」
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 拡大部は歌詞より引用。
※9 健太郎:※1のとおり、アナログフィッシュのベース&ヴォーカル。太ったり痩せたりする人。
※10 ミニアルバム版:詳しくは第658回「Hello Hello Hello」を参照。
※11 拡大部は歌詞より引用。
※12 拡大部は歌詞より引用。
※13 長野の片田舎:長野県下伊那郡喬木村をググってみた
※14 8 mile:エミネムの半自伝的な映画。デトロイトの「8マイル・ロード」は富裕層と貧困層、そして白人と黒人とを分けるラインだって話。このご時世なので、AmazoniTSでお買い上げアレ。
※15 拡大部は歌詞より引用。
※16 空虹30行。U・B46行で、無論、の負け。そんな喋った気は無かったんだけど、数えたらビックリした。


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