U・B >ちょっと久々に真面目な話を。
空虹桜>先週とか、ただ馬鹿って言いたいだけだったからね。
U・B >ええ。そこでこのネタなんですけど、ちょうど10月にandymori(※1)のラストライヴと、1年遅れですけど、去年出た住所不定無職のアルバム
(※2)聴いてたんですよ。
空虹桜>はぁ。
U・B >ロックバンドってどうしても初期衝動が鍵だったりするわけですよ。
空虹桜>むしろ、初期衝動言いたいだけって感じがあるけどね。
U・B >いやまぁ、それも無くは無いですけど、それは歳取ってからの話で、最初は、よくわかんない衝動とか、ギターカッコいいとか、女にモテた
いとかなわけじゃないですか。
空虹桜>まぁ、よく言うよね。
U・B >でさ、そこを乗り越えたバンドだけが20年選手とかになっていくんだけど、ヒロト(※3)なんかはさ、平然とだからそこに『自分は表現
者としての立場なので、新しいものを出さなければ』とかそういう使命感は何もないんだ。(※4)とか言
ってのけるわけですよ。
空虹桜>そこ引き合いに出しても駄目じゃない?
U・B >いやね、なんか比較してるわけじゃないけど、たまたまタイミング近くて、そゆよな話を眺めてたりすると、なんで燃え尽きるのわかっ
てて燃え尽きちゃうんだろうなぁっていう。
空虹桜>そこは、燃え尽きてくれないとファン冥利的には微妙なんじゃないの?むしろ。
U・B >まぁね。そこはそこでわかるんだけど、燃え尽きる時に、どうしたってバンドのフロントマンは死へ向かってたったりするわ
けじゃないですか。
空虹桜>ああ。
U・B >もう俺が歳取ったのかもしんないけど、やっぱりそういうのはヤなんですよ。尾崎かよ!(※5)みたいなさ。
空虹桜>HipHop的なノリでギャングに撃ち殺されるならアリなんだけどね。
U・B >いや、それはそれで無しで。
空虹桜>無いの?
U・B >無しです。それもしんどい。
空虹桜>ちぇ。
U・B >なんかさ、今年はちょうど怒髪天(※6)の武道館も見てたから余計なのかもしれないけど、「終わりの美学」って虚像なんじゃないッス
かねぇ。っていうのを思い始めていて、そもそも美学って美しくないよねっていう。
空虹桜>突き詰めるねぇ。
U・B >そうッスか?
空虹桜>そもそも、虚像に対しての実像とはなんぞや?問題みたいのもあるけど、アタシはさ、やっぱり賞味期限的なモノ
があると思うんだよね。
U・B >賞味期限?
空虹桜>賞味期限は若干語弊があるなぁ・・・うーんと・・・体力だな。うん。体力。
U・B >体力?
空虹桜>そうそう。体力。結局、体力の問題なんだと思うんだよね。初期衝動って瞬発力なわけだよ。速筋使うから、すぐ乳酸が溜まっ
て息が上がっちゃう。
U・B >ああ。はいはい。
空虹桜>そこで走るのを止めることは一向に構わなくて、ジョナサン(※7)じゃないけど、走ることが自分だと思いこんじゃったら、そこで終わ
るわけじゃない。
U・B >でも、走ることを止めるイコール止まることでは無い。
空虹桜>なんだよねぇ。そこはさ、大人になることと≒なのカモしんないけど、でもさ、そもそも走る前に止まってたのか?って話なんだ
よね。
U・B >今回「そもそも」の切れ味が凄いなぁ。
空虹桜>アタシが、根本的に原理主義者だからね。
U・B >自分で今回タイトル付けたから引きつけようってわけじゃないけど、やっぱり初期衝動って呪いですよね。そゆことからすると。
空虹桜>まぁねぇ。「初期衝動」ってレイベリングしたいだけっていうね。結果じゃないんだよね。
U・B >ちなみに、空虹さんって、とっくの昔に初期衝動みたいなのは枯れてると思うんですけど、
空虹桜>聞こえ悪いなぁ。その言われ方。
U・B >どうして物書きやり続けてたりするんですか?ちっとも評価されてないのに。
空虹桜>いや、それなりに評価される時はされるんだよ。
U・B >見栄張らなくていいから。
空虹桜>いや・・・えっと、結局、思いついた物語を吐き出さないと気持ち悪いから、書かざるを得なくなっちゃうんだよね。だから、そ
の瞬間瞬間では初期衝動って言っても過言はなくて、でも、同時に何度目かの繰り返し衝動でもあるっていう。その何度目か
を自分の中に見出せるかどうかが、ダラダラやり続けられるか否かの違いなんだよねぇ。
U・B >なにカッコいいこと言ってるんですか?
空虹桜>振っといて、その引きヒドくない?(※8)
※1 andymori:2007年に結成された日本のオルタナティヴ・ロックバンド。2014/10/15解散。実は早稲田出身という衝撃をWikipediaで知る。ヴォーカルが2012/11/1に合成カンナビノイドでラリり、2013/7/4に約4.5mの高さから渋谷川に飛び降りたことで有名。
※2 住所不定無職:日本のロックバンド。全メンバー、パートは「ギターとか」で有名。本文リンク先のアルバムが出てのツアーが終わったぐらいから、事実上の活動休止みたいな雰囲気。正直、このアルバム、いいアルバムだけど、音楽好きにとっていいアルバムであって、バンドにとってはいいアルバムじゃ無いと思うのである。
※3 ヒロト:ラウンド・アバウト、ザ・コーツ、ザ・ブルーハーツ、ヒューストンズ、ザ・ハイロウズを経て、現在はザ・クロマニヨンズのボーカリストを務める甲本ヒロトのこと。
※4 拡大部はなんとROCKIN'ON JAPANより引用(おみくじ大作戦用にキープしていた)
※5 尾崎かよ!:もちろん、オッサン連中がみんな大好きな尾崎豊のこと。
※6 怒髪天:2014年にバンド結成30周年を迎えた日本のロックバンド。U・Bが絶対嫌いにならないバンドの一つ。万が一兄ィに裏切られても、俺は怒髪を裏切らない。
※7 ジョナサン:ジョースターではなくて、音速の壁にぶつかる方。つまり、カモメ。この流れで出てくるのは、THE HIGH-LOWSの超名曲「十四才」が頭にあるからです。
※8 空虹28行。U・B29行で、俺の負け。斉藤和義は「40歳過ぎてからが青春」と言っていたので、初期衝動なんて気にしちゃいけないんだろうなぁ。