第762回 失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい

空虹桜長いよ!
U・B  >早いよ。空虹さんツッコミ早すぎですよ。ともかく、アナログフィッシュ※1)が不意に出したミニアルバム「失う用意はある?そ
       れともほうっておく勇気はあるのかい」(Amazon(CD) / Amazon(MP3) / iTS)を語ります。
空虹桜>1曲目は「PHASE」で、実は表題曲がないから、これが事実上のタイトルチューン
U・B  >今のアナログのライヴでこの曲の盛り上がりっぷりの異常さったらないですよ。
空虹桜>出だしから夢を買う彼はリアリスト 夢を乞う僕はテロリスト 夢を売る彼はリアリスト 夢を見る君はテ
       ロリスト※2)っていう、どうして発禁じゃないの?みたいな歌詞なのに。
U・B  >ある意味、戦略としては正しいと思うんですよ。こんだけ尖ったフレーズを並べれば話題にもなろうっていう。
空虹桜>でも、売れない
U・B  >なんなんッスかね?この世の中。こんだけ尖ってても話題にならない。
空虹桜>話題になっても狭い範囲で、もともと伝わってるエリアにしか伝わらない
U・B  >そうで、出てくるフレーズはアナログフィッシュってまだ活動してたんだとかですよ。死ねよ馬鹿!
       とか思うじゃないですか。
空虹桜ああ、今夜はブギーバック好きだったーとか言われちゃう感じだよね。
U・B  >ホント、リアルタイムとして聴いてる人間を馬鹿にしているっていう自覚症状も無いのって、なんとかなりませんかね?
空虹桜>無理じゃない?
U・B  >実は何気にコンクリートジャングルをかき分け リアルとバーチャルを嗅ぎ分け システムとルールをく
       ぐり抜け 真実に会いに行くんだよ※3)ってフレーズが好きで、ここの嗅ぎ分ける感覚が無くなったら生きてちゃアカンよなぁとか
       思ったりするんです。
空虹桜>実はいろんなことがバーチャルで、無味無臭化されてるって言い回しが、凄いバーチャルで鼻が利かない自分のカ
       ミングアウトだったりするんだよね。
U・B  >ねぇ。そゆことに無自覚な人々って、やっぱ怖いんですよ。自分よりもなにやらかすかわからない感があって。
空虹桜>たしかにね。さて、2曲目は「戦争がおきた
U・B  >この曲は朝目が覚めて彼女も起きて 昨夜の行為の続きの後で 戦争が起きたって言っていた※4
       のワンフレーズに尽きるんですよ。SEXと戦争がギャップなく滑らかに接続されているっていう。
空虹桜>まるで文芸評論のような語り口ですね。
U・B  >ここでdisらなくてもいいじゃないですか。
空虹桜>むしろ、そのあとに何かが変わるといいね※5)ってフレーズが続く怖さの方が、この曲の真骨頂だと思うんだけどね。
U・B  >まぁね。つまり、俺たちにとって戦争は他人事なんですよ。
空虹桜>他人事っていうか、ピロートークのネタっていう。
U・B  >油断すると、ピロートークって、天気の話より難しいですからね。
空虹桜>そのフリは凄い絡みにくいんだけど、とりあえず、アタシはSEXの後に戦争があったとか言い出すヤツはヤだよ
U・B  >なにを突然ダウナ?っていう。
空虹桜>男的には戦闘欲みたいなの煽られるかもしれないけどさ。
U・B  >戦争と生殖本能みたいなのは、わりとイコールで結ばれがちですから、ある意味、この連なりは正しいとも言えるわけですよ。
空虹桜>なんか難しい日本語使ったね。じゃあ、3曲目「TEXAS」で、スペースシャトル好き的には許されないよね。この歌詞。
U・B  >でも、この曲も戦争なんですよ。スペースシャトルはミサイルの比喩でしかない。
空虹桜>象徴的なフレーズと抽象的なフレーズのごった煮だよね。歌詞が。
U・B  >さっきの話に引きつけて言うと、遠くで戦争が起きて炎が上がる アラブの砂漠のど真ん中 彼女は食事して
       いた スケベな音を立てて※6)ですからね。
空虹桜>そうそう。この歌詞で初めて、スープを音立てて啜っちゃいけないってマナーの意味がわかったよ
U・B  >まさかの。
空虹桜>つまり、西洋人にとって、音立てて啜るって、フェラチオの隠喩ってことでしょ?
U・B  >また凄いストレートに言っちゃいますね。
空虹桜>30過ぎて、今さら照れる歳でもあるまいし。
U・B  >まぁたしかに。
空虹桜>そして、4曲目が「UNKNOWN」で、この曲になると、なんか楽になる
U・B  >張り詰めてる感が解けますからね。
空虹桜今夜は何か好きなもの食べに行こう 最近ちょっと疲れてるだけだよ※7)って、ワンフレーズのおかげな気がす
       るんだけど、そゆ意味では、下岡晃(※8)という人はフード理論(※9)を音楽的にしっかりやってる人だなぁっていう気もする。
U・B  >前回から引き続いての空虹さんから下岡晃評。でも、結局未来はわからない ホントに誰にもわからないんだよ※10
       ですよ。
空虹桜>まぁね。だからこそこのタイトルだっていうのもあるけど。
U・B  >まったくで。
空虹桜>ラスト5曲目が「風の中さ
U・B  >最後の最後に健太郎曲。(※11
空虹桜>この流れで聴くと、開放感すらあるっていう。
U・B  >いつもは暑苦しいぐらいだってのに。
空虹桜>何気に常にメロディアスだもんね。
U・B  >そうなんッスよね。健太郎はどうしてもメルヘンティストというか、美メロを書きたい人というか。
空虹桜>とはいえ、言いたいことが無いわけでは無く。
U・B  >そこのバランス感覚で生きてるバンドですからね。アナログフィッシュ。
空虹桜>ある意味、ずっとキワいとこでやってんだよね。
U・B  >ええ。だから、州一郎がいなくなって解散しかけたっていう。(※12
空虹桜>幼馴染みなのに。(※13
U・B  >むしろ、だからだと思いますよ。そして、このEPを話しちゃうと実は次の「荒野 / On the Wild Side」(Amazon(CD) / Amazon(MP3) / iTS)を
       語るネタがあるのか不安なんだけど、でも、逆にこうやって、ミニアルバムを出さざるを得なかったんですよ。この時のアナログフィッシュは。
       2011年だったし。(※14


※1 アナログフィッシュ:1999年に結成の下北系ギターロックバンド。長野県下伊那郡喬木村出身の下岡晃(Gt&Vo)と佐々木健太郎(Ba&Vo)に斉藤州一郎(Dr)を加えた3ピースバンド。
※2 拡大部は歌詞より引用。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 拡大部は歌詞より引用。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 下岡晃:アナログフィッシュのギター&ヴォーカル。
※9 フード理論:お菓子研究家の福田理香が提唱している理論。フード(食べ物)を中心にフードが物語中で何を表し、何を演出するか解釈する。
※10 拡大部は歌詞より引用。
※11 健太郎曲:アナログフィッシュのベース、佐々木健太郎が作詞作曲した楽曲のこと。
※12 州一郎がいなくなって解散しかけた:2008/3/10にドラム斉藤州一郎は脱退したが、2009/10/10に復帰した。
※13 幼馴染み:※1記載の通り、下岡晃と佐々木健太郎は長野県下伊那郡喬木村出身。
※14 空虹31行。U・B37行で、もちろん、の負け。ちなみに、2014/10/8に新譜「最近のぼくら」リリースしてます。


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