第901回 サイボーグ俺達(後編)

空虹桜HALCALI※1)のアルバム「サイボーグ俺達」(Amazon / iTS)を語る後編です。
U・B>7曲目は表題曲の「サイボーグ俺達」で、僕らのPOLYSICSハヤシが作詞作曲(※2
空虹桜意味のわからない歌詞はさすが。
U・B>出だしから初めて喋るよ 右手が伸びる アルカリ博士の 効き目が落ちる※3)ですからね。
空虹桜気象予報士サイモン小暮 固形燃料ってあれすごいクールだよね モーションキャプチ
    ャー小脇に抱えて 見るもの何でも取り込む浅香※4)の踏めてるのか踏めてないのかよくわかんない感
    じも、HALCALIにあってるなぁと。
U・B>とはいえ、古いPOLYSICSが好きな病んだファン(※5)としては、これぐらいの歌詞でも意味がありすぎてダメなんで
    すけどね!
空虹桜捻くれ者!
U・B>ポリはわけわかんないことを爆音の電子音に乗っけて叫ぶのがいいんだよ!じゃなかったら未だに「ガジャガジャグ
    ー」(※6)であんな盛り上がらねぇーよ!
空虹桜>たしかに、そんな曲名で成立するのは強みだよね。
U・B>ええ。ホント、だから、アルバム9割買ってるけど、最近全然ライヴ見てないですからね。って、ポリの愚痴言っても仕方ないから
    次行くと、8曲目は「ドライバーズ・ライセンス」、RHYMESTERの宇多丸参加で、トラックはALI-KICKっていう、
    完全にライムス仕様な黒い感じ(※7
空虹桜>宇多丸のラップが、すこし余所行きな感じになってる。
U・B>ちょうど20歳前後だから、ちょっとだけ背伸びした感じのHALCALIちゃんでもあります。
空虹桜>歌詞も教習所より深いセンスとサイエンス 授けるこの時間の方が大切 キミの助手席に
    座る権利はプライスレス※8)からはじまって、女の子の初ドライヴをナビゲートする大人の男の曲だからね。
U・Bエロいッスよねぇ
空虹桜>そうか?これで、Mummy-Dだったらエロい(※9)けど、宇多さんだとその感じなくない?
U・B>それはMCの色を知ってるから(※10)そうなるわけで、知らなきゃ充分エロいでしょ。
空虹桜>エロかどうかも人に依存する価値観だから、別に否定する気はないけどさ。
U・B>さすがです。9曲目が「フェスでウィッス!」で、楽しい曲書かせたら日本一なバンドYOUR SONG IS GOOD(※11
    らしい、アがる一曲。
空虹桜>ユアソンも鉄板感が強いよね。
U・B一曲も知らなくたって、音楽好きって心根がある人は必ず踊らせましょうみたいな心意
    気を凄い感じるんですよね。ユアソンって。
空虹桜>サーヴィス精神が旺盛っていうか、自分たちもそっちのが楽しいし!っていう。
U・B>さっきのハヤシの曲よりも中身は無いんですよ。この曲。でも、楽しさは全開にある
空虹桜楽しいフェス! ハルカリフェス! ついでにユアソンもうれしそうね※12)だからね。
U・B>楽しくて嬉しくてたまらないっていうね。ただ、一言言っときますけど、どう考えても俺はフェスティヴァルピーポー枠に入れられ
    ます(※13)けど、リアルはちっとも充実してねぇーから、フェスで現実逃避してんだよ!
空虹桜>ああ、残念だ。
U・B>ホント残念だ。次、10曲目は「桃源郷」で、最近まったく活動してないHONESTYプロデュース(※14)だから、めっちゃロ
    ックンロール。
空虹桜>ギターがいかにもロック。
U・B>ラップパートが若干オマケですけど、さすがにアイゴン作詞作曲(※15)だけあって、モダンにポップ。
空虹桜>別にラップパート以外でもライミングがしっかりしてるから、違和感はない。
U・B>実はやっぱ、ユアソンでもはしゃぎたくなるけど、こゆ曲聴くのがよりはしゃぎたくなんで、俺ロック好きなんだなぁ
    って思うんです。
空虹桜>ふぅん。
U・B>あー、スゲェ無関心だ。まぁ、いいんですけど。個人的にはこの曲のギター大好きだったりするんですけど、次11曲目「Tip
    Taps Tip」のギターが実はフジイケンジ!(※16
空虹桜>ごめんわかんない。
U・B>俺も、今回のレヴュ用に確認して知ったんですけど。つか、フジケンって元マイラバだったっけか!※17
    っていう。
空虹桜>はぁ。
U・B>さすがにマイラバぐらいはわかるべ。
空虹桜>そりゃわかるけどさ。
U・B>世の病んだ人たちにとっては、「交響詩篇エウレカセブン」のEDだった(※18)ので、そっちの印象が強いと言われれば強いんで
    すけど、まぁ、たしかに前向きな曲ではある。
空虹桜>キャッチィだよね。
U・B>SME(※19)が当時売りたかったバンドをOPとEDに起用してるから、今となってはラインナップ見ると切なくなるんだけど、と
    はいえ、とても00年代っぽい。高田梢枝だけ浮いてるけど(※20
空虹桜>個人的にこの曲いつだって僕らは迷子 大人は言う"Just a child…"※21)のライミングが好きです。
U・B>最後、12曲目が「春狩道 〜19の夜〜」で、プロデュースがRAM RIDER!(※22
空虹桜>RAMさんも出たばっかぐらいの頃のせいか、実はこの曲そんな印象に残ってない
U・B>とはいえ、どうですか?今聞き返してみると。
空虹桜>HALCALIとRAMさんのどっちが書いた歌詞かはわかんないけど、だから聞きたい 「君はこの音で一体何が
    したい?」を19歳に突きつけるのが面白いなぁっていう。2番だと聞きたいな 暗い暗いとこで 今いっ
    たい何が聞こえるのか?※23)に跳ねてて、ああ、若いなぁっていう。
U・B>最後の方には答えのないモノ・・・そんな事ばかり考えているのどうなの? そんなの1年
    で5時間くらいのもんでしょ ねぇ そうでしょ?※24)ですからね。
空虹桜>そっからyes このまま変わらないこのペースで 私たちらしくニュアンスで つくりだす
    スペース あがるステージ ハルカリ on the マイク あげるボルテージ※25)の展開はア
    がるけどね。
U・B>ヒップホップスターって感じのフローですよね。
空虹桜>高校も卒業して、19歳ぐらいが一番大人子どもだと思うんだけど、その時にこれだけオッサンたちに弄
    ばれるわけじゃん。
U・B>言葉悪いですけどね。
空虹桜>そこで無闇に経験値があったりもするから、ちゃんとその遊びに付き合えるってのが、00年代の女の
    子っぽいなぁっていうのが、今から振り返るとしみじみ思えて、今だともうちょっと下の年代ですら付き
    合いではなく割りきりなんだよね。
U・B>油断すると、社会批評的な言い回しですけども。
空虹桜>目黒の商店街で生まれ育った女の子が、お洒落な大人に囲まれたらどう育つかったら、こうなったわけじゃん。っていう、社会
    実験だよ。HALCALIは
U・B>間違ってはないけど、たぶんに結果論。
空虹桜>だからさ、HALCALIに復活して欲しい気持ちは存分にあるけど、でも、もう懐古主義だよなぁっていうのが、一連の
    HALCALIレヴュはじめた頃と、アタシの中で心象が違うんだよね。
U・B>ああ。わからではないですな。それ。
空虹桜>好きだからこそ、好きが過剰になるのをどう自制するか?って、永遠の課題かなぁって気がするし、それが
    涸れたらつまんないんだろうなぁっていう。(※26


※1 HALCALI:「HALCA」と「YUCALI」を合わせたユニット名でお馴染みの2人組ヒップホップユニット。2012年頃に所属事務所やレコード会社と契約をすべて終了した。
※2 POLYSICSハヤシ:日本が誇るニューウェーヴバンドPOLYSICSのフロントマンがハヤシ。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 拡大部は歌詞より引用。
※5 古いPOLYSICSが好きな病んだファン:U・BにとってPOLSICSはカヨの脱退で終わりました。
※6 ガジャガジャグー:Wikipediaによると「ハヤシ曰く「この曲ができただけでポリの未来は明るいと思ってた」ほどの自信作」
※7 RHYMESTER:日本のHipHopユニット。 宇多丸:最近じゃTVやラヂオのMCとして顔が売れてるけど、ラッパーにしてRHYMESTERのマイクロフォンNo.1。 ALI-KICK:日本のHipHopユニットRomancrewのMC・トラックメイカ。 ライムス:RHYMESTERの略称。「ター」しか省略してないけど。
※8 拡大部は歌詞より引用。
※9 Mummy-D:ラッパーにしてRHYMESTERのマイクロフォンNo.2。ちょっとダルい感じがエロカッコいい。
※10 MCの色:ここでのMCはラッパーを指します。また、色はそれぞれラッパーさんにはキャラがあり、それがラップに反映されるモノなので、その反映されている「なにか」を色と呼んでいます。
※11 YOUR SONG IS GOOD:日本のオルガンインストゥルメンタルバンド。だいたいどの曲も楽しくて仕方が無い。そういえば、このあと注釈入れ忘れてたけど、ユアソンはYOUR SONG IS GOODの略称ね。
※12 拡大部は歌詞より引用。
※13 フェスティヴァルピーポー枠:そりゃさぁ、今年はARABAKIから夏の魔物まで、半年毎月どっかのフェスへ行きましたよ。行きましたともさ。でも、一緒にいるのは空虹さんとか、両親とかだし、基本一人だぜ。なにがピーポーだ。久保田利伸!!
※14 HONESTY:GREAT3のボーカル・ベース高桑圭とEL-MALOのボーカル・ギター曾田茂一が結成したバンド。
※15 アイゴン:曾田茂一の愛称。
※16 フジイケンジ:広島県福山市出身のギタリスト藤井謙二のこと。実兄はThe Grooversの藤井一彦。
※17 マイラバ:バンド内で結婚と離婚があってややこしいことになったakkoのユニットMy Little Loverの略称。
※18 交響詩篇エウレカセブン:まるで図ったかのように、ちょうど映画も公開されてるけど、2005年から2006年にかけて放送されていたテレビアニメ。
※19 SME:ソニーグループの音楽系事業統括会社(中間持株会社)Sony Music Entertainmentの略称。
※20 高田梢枝:日本のシンガソングライタ。現在は2人組ユニット「日々かりめろ」の「こずえ」として活動している。
※21 拡大部は歌詞より引用。
※22 RAM RIDER:日本のミュージシャン、リミキサ、DJ。あるいは、インターネットラジオの人。
※23 拡大部は歌詞より引用。
※24 拡大部は歌詞より引用。
※25 拡大部は歌詞より引用。
※26 空虹桜42行。U・B42行でドロー。次は「TOKYO GROOVE」なんですが、何回に分けて喋るべか・・・


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