第992回 SCRAPPIN(後編)

空虹桜>アタシの番でやるアルバムレヴュ最終回はロボ宙※1)の2ndアルバム「SCRAPPIN取扱店一覧)」を喋る後編です。
U・B>7曲目からスタートですが、いきなり「skit skit」で音ネタの風刺
空虹桜>アタシ自身は、この手のネタ大好きで大好物なんだよね。
U・B>たぶん、これ、HipHop黎明期のラヂオからのサンプリングですよね。
空虹桜>たぶんね。今じゃ滑稽にすら聞こえるかもしれないけど、そうやって、俺たちはHipHopを広めてきたっていう。
U・B>そうですよね。HipHopって、広められた概念ですもんね。
空虹桜>現在進行形でね。まだマイナジャンルだし。
U・B世界的にはトップメジャなんですけどね。
空虹桜>まぁ、「ガラパゴス」という概念を使い間違えてる国だから仕方ないんだけどね。
U・B>話噛み合ってるのかよくわかんないですけど、8曲目「funkyなミュージック」で曲はtsuchie。
空虹桜>SHAKKAZOMBIEのTSUTCHIE(※2)が作ったトラックだと思いこんでたんだけど、よく見たら、Tが1つ足りないね。
U・B>正解はどうなんですか?
空虹桜>未確認。ライヴで聴いたけど覚えてない。
U・B>覚えててください。それはともかく、この曲はやっぱりトラックの電子音だと思うんです。funkyではないと
    思うけど、でも、違和感もないっていう。
空虹桜>そもそも、君の言う「funky」とはなにかね
U・B>だいぶ上からですけど、まぁ、そゆ話になりますよね。
空虹桜>アタシとしては例えるなら 銀河系をヒッチハイク※3)のワンフレーズで、やっぱり、「銀河飯店」(※4
    なんてアルバム出した人のリリックだなぁと。
U・B>ああ。文脈的によくわからんですしな。
空虹桜>「マイク」と「ヒッチハイク」で踏みたかったんだろうね。
U・B>でしょうね。9曲目が「sunshower」でトラックがpunch&mightyの夏感強い曲
空虹桜>このアルバム全体として、何気に夏感は強いと思うんだけど、これはとくにだよね。
U・B>サビの透き通った空 褐色の肌 星の砂浜 あるいたら 降り注ぐサンシャワー※5)です
    からね。
空虹桜>もうさ、遠く行きたい!
U・B>行けばいいじゃん。
空虹桜>貧乏性だからさ、どこか出掛けたら、なにかしなきゃいけないとか思っちゃうじゃない。
U・B勿体ないオバケが出ますよね。
空虹桜>駄目だよね。無意味な旅にこそ価値があったりするわけじゃない。逃亡なんだから
U・B眠らない 誘惑のリズム 太陽登るまでの お付き合い※6)的なイヴェントのひとつも欲しいです
    よ。まったく。
空虹桜>人の話聞いてる?アタシの意図と全然噛んでないんだけど。
U・Bあ〜あ、エロフラグ立たねぇかなぁ
空虹桜>阿呆か。
U・B>否定はしません。10曲目は「テガキ」でdauのkatokichiがトラックメイカ。
空虹桜>昔、加ト吉の工場が赤平にあったじゃない。アレって、どうなったの?(※7
U・B>とてつもない不意打ちですけど、たしか、食中毒事件かなんかあって潰れましたよ。
空虹桜>へぇ。でさ、この曲って、なんかスゴいECDの曲みたいな感触なんだよね(※8
U・B>はい。わかりません。
空虹桜>自分でもよくわかんないんだけど、なんだろ?BPMに対するラップの感じとか、織り込まれてるミュージシャンの名前とか。
U・B>わかんねッス。あと、俺もう、手書きはホント駄目。すぐ腱鞘炎が悪化する。手書きの方が想いが伝わるとか、滅び
    ればいいのに
空虹桜>でもさ、近所のあんちゃんの言葉遊び 価値観逆さま ありえない 見せてく自分の世界
    (※9)みたいな韻の踏み方と意味の納得感みたいなモノって、ああ。そうだよなぁ。って、素直に思うんだよね。
U・B>さよか。じゃあ、11曲目「good ones」で、曲は曽我大穂。
空虹桜>いろいろ気になるとこあるけど、リコーダ最高
U・B>これ、リコーダッスか?尺八とかじゃないんですか?
空虹桜>リコーダでしょ?つか、アタシに楽器のこと聞くな
U・B>じゃあ言うな。いずれにせよ、人力ループって気持ちいいんだよなぁって、改めて思いましたよ。この曲。
空虹桜>まぁ、そうだね。1:35しかないしね。
U・B>そのわりに結構文字数詰め込んでたりね。
空虹桜>楽しい曲ではある。
U・B>うん。で、12曲目が「ラフスケッチ2017」でトラックがcompuma。
空虹桜>Robochu&Dau「Life Sketch」からの新録だけど、アタシ的にこの出だしのアイアム私 インザおれの街※10
    って、パンチラインがとにかく好き
U・B>「walking」(※11)の時もそうだったけど、ロボ宙が町歩きしてる時の表情とか視線みたいなのが、このアルバム全体で、よくわかるなぁっていう。
空虹桜>うん。だから、このアルバムのタイトルって「スクラップ」が名詞なのを動詞にして「SCRAPPIN」なわけじゃ
    ない。日本語的なセンスで。
U・B>ああ。強引な解釈だ。
空虹桜>とくにHipHop的な文脈においては、なにをスクラップするのかって、イコールその人のセンスを直接表明するわけじゃない。
U・B>真面目な言い回しですけど、まぁ、そうですね。存じてます。
空虹桜L I F E その人なり 歴史 ルーツ 暮らし 意志 ストーリー 鳴らせ いつもの
    music※12)ってリリックは、今アンタが言ってたように、ロボ宙の視座とか立ち位置の表明だし、だから
    こそ、「おれの街」のスケッチなんだよね。
U・B>いかにも解説口調な感じがほんのりムカつきますが、最後、13曲目が「kanpeki」で、クレジット入ってないから、
    たぶんトラックはロボ宙。
空虹桜>しかも、歌詞カードとは結構ラップしてるフレーズが違う
U・B>ああ。たしかに。
空虹桜>で、この曲もECDっぽい手触りというかなんだけど、たぶん、これは出だしのあるときの感情 心情 表情匂い記
    憶永久保存 煩悩 本能に従い マイクロフォン 言いたいことを言ってみよう※13
    の具体化みたいな印象なんだよね。
U・B>はいはい。そうですね。それで行くとって言うとちょっと違うかもしんないけど、歌詞変わってるところの言葉は 星空に
    散らばった※14)ってフレーズが、このアルバム全体をウマく形容してんなぁと。
空虹桜>なるほど。で、最後にまた音ネタ挟まって終わり。
U・B>最後の音ネタって、現場史上主義みたいな宣言だよね。
空虹桜>むしろ、形に拘らないし、その場を楽しもうよ!っていう、お誘いに聞こえるな。
U・B>それもありますな。さて、締めてください。
空虹桜>ロボ宙は、改めて聴くとやっぱ良いね!が一番だけど、やっぱり、さっきも話に出したけど、この人のモノの見方と
    か、引きつけ方が抜群に面白いんだよね。だから、ロボ宙って、もっと表に出ればいいのに。(※15


※1 ロボ宙:日本のヒップホップユニット、脱線3のMC。ロボットなのにロボットじゃない人。
※2 SHAKKAZOMBIEのTSUTCHIE:SHAKKAZOMBIEは日本のヒップホップユニット。TSUTCHIEはトラックメイカー。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 銀河飯店:ロボ宙の1stアルバム。過去にクロスフェーダでは第149回という、超大昔に喋っています。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 昔、加ト吉の工場が赤平にあった:超ローカル話。正式にはテーブルマークに社名変更した。
※8 ECD:日本のラッパー。80年代後半からラッパーとして活動していたオリジネータの一人。2018/1/24死去。
※9 拡大部は歌詞より引用。
※10 拡大部は歌詞より引用。なお、Robochu&Dau「Life Sketch」(Amazon)は2006年に発売のアルバム。
※11 walking:「SCRAPPIN」の5曲目。詳しくは、前回のクロスフェーダで。
※12 拡大部は歌詞より引用。
※13 拡大部は歌詞より引用。
※14 拡大部は歌詞より引用。
※15 空虹桜42行。U・B38行での勝ち。そんなわけで、クロスフェーダでのアルバムレヴュは次回最終回です。


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