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U・B> さて、日本クラウンとの契約が切れたらしく、THEイナズマ戦隊(※1)の15thアルバム「グッジョブ!!」(iTS / ROCKET-EXPRESS)は、ディジタル配信がメインで、フィジカルはライヴ会場と通販限定ってことで、超ひっさびさに「ROCKET-EXPRESS」でお買い上げしましたよと(※2)
空虹桜> 通販限定って、今ドキだよね。ラップの新作ってだいたい配信リリースだから、フィジカルまで待つべきか悩む。
U・B> やっぱり制作側でお金のことを考えると、在庫持たないことのが正しいんですよね。
空虹桜> 平たく言うと、売れてない。
U・B> まぁ、今回はメジャと切れたのも大きいとは思いますけどね。事務所が大きいとはいえ、限界ありますからね。で、1曲目が表題曲の「グッジョブ!!」(YouTube)ですが、マスタリング変わった?と、前作「世明けのうた」引っ張り出して、クレジット確認しましたよ(※3)
空虹桜> フィジカル持ってるの強みだよね。
U・B> 結局のところ、フィジカルなんで買う?訊かれたら、こうやってなにかを確認する必要に迫られるかもしれないからですよね。
空虹桜> そんな必要に迫られること、まず無いけどね。オタクって面倒くさいわぁ。
U・B> ね。で、マスタリングはいかにも配信っぽくヴォーカルの音が前に出ていて、厚みが物足りないんだけど、これが今ドキなのかなぁって気はしました。んで、フィジカルの話をすると、今までイナ戦は上中丈弥の手書き歌詞カードだったのが、今回タイプ打ちだったので軽いショックを受けました(※4)
空虹桜> これだからオタクは。にしても、1曲目からベタベタな歌詞だね。
U・B> ええ。見事に歌詞サイトに収録されてないんで、引用しようと思うと歌詞カード見るしか無いってのもフィジカル持つ理由のひとつですけど、ともかくいっちばんベタな歌詞を引用すると「この時代を 俺達の時代を 後悔するなんてバカげてる 反省したら そこからまた立ち上がるんだぜ」(※5)ですからね。もう何回「後悔」だの「バカ」だの「反省」だの唄っているのか。
空虹桜> 2曲目が「愛のバカ騒ぎ」で、また「バカ」という。
U・B> ね。ただ、この2曲目まで聴いて、もしや、何度目かのリスタート自己紹介ソングなのかな?と思いましたけどね。
空虹桜> ああ。この無闇な演歌調というか音頭調というか。
U・B> 「愛愛愛を私立良くなれ 悔し涙も愛おしく 愛愛愛を知りたくましく 生きる喜びを噛みしめ 今日も鼓動とバカ騒ぎ」(※6)って、コブシ回しまくってるのも引っくるめて、ある種「ザ・THEイナズマ戦隊」なわけじゃないですか。
空虹桜> 久々に聴いた人には「ブレてないな」と思われるだろうけど、ずっと聴いてる人からすれば「またそれか」
U・B> 3曲目の「生き抜け愚か者」までは、本当に「またそれか」ですよ。そういう古参ウザいではあるんだけど、過去の曲たちを越えてくれるなら全然OKなんだけど、やっぱり踏み込みが足りないというか、インプットが足りてないなじゃないかなぁっていう。そこは、上中丈弥が増子直純になれないところだとは思うんです(※7)
空虹桜> 何年もやってれば、どうしたって同じところをクルクル回ってしまうものだけどね。
U・B> ええ。だから「生き抜け愚か者 毎日つまずいて それでも生きてりゃ 陽が昇る」(※8)は手癖で書けちゃうんだから、その陽が昇ったあとの話を唄って欲しいと思っていて、実際増子直純って人は唄ってたりするわけで、丈ちゃんは、そこ行かにゃならんじゃないかなぁっていう。
空虹桜> 陽が昇って、陽が沈むとか?
U・B> ええ。腰が痛いとか目が霞むとか。それでもなんとかやってったら面白いぜって話が必要だと思うんだけど、まだ未来形なんですよね。それはそれで良さでもあるし、未来形の歌を唄えなくなったロックバンドなんていらないんじゃね?ってのも正論ではあるんだけど、じゃあ、久保さんがリタイアしてしまってる現状をなんとするか?(※9)なわけじゃないですか。それは怒髪天でシミさんがアル中になったのと近しい話でもあるんだけど(※10)
空虹桜> なんか話が深入りしてきたから日和って4曲目の「鼻先がツンとなって」で、これも「後悔」が出てくる。
U・B> ええ。つまりは、上中丈弥という人も後悔の多い人生だってことじゃないかなぁとも思いますが、とはいえこの辺からチラチラといいフレーズは出てきてて「失敗成功を繰り返して ツギハギだらけで繋いでいく日々 美しいね」(※11)は、わりに良い歌詞だとは思ってます。
空虹桜> まぁ、「美しい」って書いちゃダメだけどね。
U・B> 言うと思った。で、とはいえとはいえ5曲目「You ROCK It」が今回のアルバムの中ではベストソングかなぁと。
空虹桜> っぽいなぁ。メロディラインが好きなだけじゃないの?
U・B> まぁ、それは否定しないんですけど、2番の「もしも俺が宅急便屋さんだったら 真心込めてお届けするよ」から「もしも俺がカレー屋さんだったら 最高のスパイスで迎えるよ」までのツッコミどころの多さは好ましいし、なんと言っても「もしも俺達が生まれ変わってもイナ戦だったら 胸張って意地張って死ぬまで続けよう」はグッと来ざるを得ないじゃないですか(※12)
空虹桜> まぁ、それはね。わからいではないですけども。とはいえ、何度目よ?感はあるわけじゃない。
U・B> ええ。ただ、やっぱりここは「俺達」の語に尽きるわけですよ。状況が状況だけに、一蓮托生って感慨は大事。
空虹桜> で、また「ガソリン」だの「ヒーロー」だの唄っている6曲目が「愛しさ余って しかめっ面」
U・B> もうちょっと比喩のストック欲しいの否めないんですけど、この曲はこのメロディと最後の「褒め契りを交わそう」(※13)が素晴らしいと思います。褒めちぎって褒め契るわけですから。こゆのが欲しいんですよ。俺は!
空虹桜> 「人材」を「人財」って書きたがる痛い人みたいではあるけどね(※14)
U・B> まぁね。ただ、褒めて契るのは今週を生き抜いたからだし、来週も生き抜くためなので、これは自分のためのポジティヴソングなんでいいんですよ。
空虹桜> ああ。なるほど。「人財」とかって、自分のことじゃないもんね。
U・B> ええ。なんで、ゲスみが強いんですよ。それはともかく、7曲目が「OMG! 悲しき45」で、リアルコミックソングみたいな感じ。
空虹桜> 「半人前でも腹は減るし 食い扶持探して右往左往 真芯をくった君の言葉 夢から安定は産まれない」(※15)を45歳の歌として唄うところが良いね。
U・B> だいたいの場合「君はいつだって正しいよ」(※16)なんですけど、こういう女の子が周りにどうして出てこないのかって話ですよ。
空虹桜> んーと・・・いきなり自分語りですか?
U・B> そうならざるを得ない。おかしくね?俺もワンチャンあってしかるべきじゃないですか。
空虹桜> しかるべき・・・?
U・B> もう最近はいっそ言う側に回りたいですけどね。ただ、呑み友達でそんな感じの残念なオジサンがいるから、そこには行きたくないっていう鬩ぎ合い。
空虹桜> 知らないよ。っていうか、自分の顔鏡で見たことある?最初に会った時から、オッサンだかんね。
U・B> 失敬な。人を見た目でどうこう言うだなんて!
空虹桜> めんどくせぇ。次、7曲目がこれまたベタな感じがする「ズタボロ合唱団」
U・B> ホントに「みんなのうた」というか旧関ジャニ∞ことSUPER EIGHTへの提供曲っぽい(※17)
空虹桜> たしかにジャニーさんとこって、こういう曲1曲はあるよね。
U・B> 関ジャニ∞ことSUPER EIGHTには、イナ戦も何曲か提供してたりもするし。
空虹桜> この曲は「そうさ 手を前に 振り出せば 臆病な足もついてくる」(※18)って、サビはなかなかフレッシュだなぁと。
U・B> 「臆病な足」って、比喩でありリアリティでもありますからね。しかも、歌詞的にもさんざっぱら転んだあとって流れであるから、足が痛い。
空虹桜> そうなれば、まぁ、「臆病な足」にもなるよね。っていう。あと2曲だけど、次が「A!! A!! O!!」で、字面からなんて読むのか思ったら「えーえーおー」だった。
U・B> これもまた「後悔」と「反省」を繰り返してますけど、「俺達はまだ 枯れちゃいけない 希望の種をまき 咲き誇るまで」(※19)が、やっぱり折れかけたんじゃねぇーか!っていう。
空虹桜> で、最後10曲目が「今の俺にとっちゃお前が全て」で、わかりやすいラブソング調。
U・B> とはいえ、まぁ、アルバム全体を見渡してみれば、もう「お前」は「ロック」でしかないわけですよ。
空虹桜> 出だしから「ふと気付けば遠くへ来たもんだ そろそろ折り返し」(※20)だもんね。
U・B> 人生80年だとすれば、とっくに人生折り返してるわけですけど、「愛してるぜBABY お前を思えば 折り返す道も さぞ愉快だろう」(※21)なわけですよ。
空虹桜> ここまで生きちゃって、愉快じゃない人生を生きるわけにもいかんしね。
U・B> ね。この曲だけ、キィボードにミキオさんが入ってる(※22)んだけど、この曲のアレンジはちゃんとキィボードが前に来てるので、ミキオさん信頼できるわぁって思います。
空虹桜> じゃあ、まとめを。
U・B> グダグダ言ったし、それこそこのアルバムだって、リリース直前にジャケ変わったりとか、生きてたらいろいろあるさ。を最近地で行ってるから尚更に、せめて自分にぐらい「グッジョブ」言ってあげなきゃね。
空虹桜> ホンノリ切ないなぁ。
U・B> だから、それこそ冒頭でも言ったけど、このアルバムが何度目かのリスタートだとして、何度スタートし直しても同じことを同じように自分に対して言えるのは大事で、新曲と言われると困る部分は隠せないけど、圧倒的なマンネリズムに縋るのはダメか?っていうと、そうとも言えない。
空虹桜> まぁ、「愛してる」は何度言っても言いすぎることはないからね。
U・B> なんか凄い締め方した?
※1^ THEイナズマ戦隊:略称イナ戦。メンバはVo.上中丈弥(基本全曲作詞)、G.山田武郎、Ba.中田俊哉、Dr.久保裕行(UP時点では活動休止中)の四人組ロックバンド。詳しくは本文リンク先のオフィシャル参照。
※2^ フィジカル:肉体の意味だけど、ここではCDのこと。ディジタル配信の対義語として使われる。
※3^ 今回はメジャと切れた:ここでは日本クラウンとのリリース契約のこと。今回は所属事務所SMAの名義で発売(規格品番はSLRL)前にもよりを戻したことがあるので、今回もいつか戻るやも。 世明けのうた:イナ戦14thアルバムのタイトル。その18でアルバムレヴュしてます。 クレジット確認しましたよ:CDで発売された場合、歌詞カード等に製作スタッフが記載されているので、それを確認しました。ディジタルでは確認の術が無いので非礼だと思っている。
※4^ 今までイナ戦は上中丈弥の手書き歌詞カードだったのが、今回タイプ打ちだったので軽いショックを受けました:Wikipediaの来歴・概要欄に書かれる程度にはイナ戦の特徴だと認識されている。
※5^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※6^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※7^ 増子直純:日本のロックバンド怒髪天のフロントマン。通称兄ィ。直近でRSRのメインステージで神輿に乗っていたことで有名。
※8^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※9^ 久保さん:※1の通り、イナ戦のドラム久保裕行のこと。体調不良により活動休止中。
※10^ 怒髪天でシミさんがアル中になった:※7の通り、増子直純が所属するロックバンド怒髪天のベース清水泰次(愛称シミ)が2024/2/9に「数年来に渡って度重なる信頼を損なう言動」を理由にバンドを解雇された際のコメントで、「自分の度重なる過度の飲酒と素行不良によってみなさんに多大なご迷惑をおかけしたこと、本当に申し訳ありません」と発言している。
※11^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※12^ U・B発言中の鉤括弧の中はすべて歌詞より引用。
※13^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※14^ 「人材」を「人財」って書きたがる痛い人:小学館「デジタル大辞泉」によると、材は「役に立つ素質・能力」という意味があるのに対し、財は「値うちのあるもの。有用な物質や金銭」「たから。お金」の意味で、明らかに財を使うと露骨(≒ゲス)
※15^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※16^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※17^ SUPER EIGHT:ここではSTARTO ENTERTAINMENT所属の元関ジャニ∞のこと。J・J・エイブラムスの映画や,さらにその元ネタである動画用フィルムの規格があるので、ややこしい。なお、「ズッコケ男道」を筆頭に結構上中丈弥作詞曲が多い。
※18^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※19^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※20^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※21^ 鉤括弧の中は歌詞より引用。
※22^ ミキオさん:自分のバンドだけでなく、多数の有名ミュージシャンのサポートを務める名キィボーディスト伊東ミキオのこと。THEイナズマ戦隊でも、しばしばサポートを務める。