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U・B>
8年ぶり(※1)に、スキップカウズ(※2)がアルバムを出したぞい!ということで、14thアルバム「Shall we バンス?」(iTS / Amazon / HMV / 先行発売)の話をします。カオシデで久々のアルバムレヴュ!!!(※3)
空虹桜> 12月発売とか言ってなかったっけ?
U・B> ライヴハウスと通販だけは先行発売してて、当方は通販でご購入です。ありがとうございます。千葉のバンドのCDが山梨から届くカオス!
空虹桜> なんでそうなるの?
空虹桜> ふぅん。で、1曲目は「みゅーじっく」
U・B> この曲自体は2022年のライヴレポで「新曲じゃねぇー!」書いてたんで、たぶん2021年ぐらいからやってたとは思うんだけど、わりと古い曲。
空虹桜> 8年もアルバム出さなきゃ、古い曲出てくるよねぇ。
U・B> そもそも、曲調が今の流行りとは一線を画すというか、古いですからね。
空虹桜> たしかにイントロからスキカウだ!って感じはする。
U・B> そこは信頼の遠藤印ですからね。間奏のギターソロとか、絶対に今の曲はやらないけど、こっちはグッと来るという。
空虹桜> ギターソロって、今の子嫌いだとかいうもんね。
U・B> とはいえ、ライヴで盛り上がったりはするんですけどね。でさ、歌詞の話がしたいんですけど、「降り続くメロディの雨上がり」(※5)って、曲名も踏まえると密かに清志郎トリビュート(※6)だと思うんですけど、一番は「フルテンでハイになれ」と「フルチンで灰になれ」(※7)の堅い韻が大好きなんですけど、如何ですか?
空虹桜> 「如何ですか?」言われましても。
U・B> 結成36年でも音楽辞めないよ!宣言で、14枚目のアルバムをはじめるって決意表明なわけじゃないですか。ここで見るのは、決意表明って、何年目にやっても構わない!っていう。
空虹桜> でも、決意表明的なことをしたがるって、凄いロックバンドっぽいなぁとは思うな。
U・B> ああ。はいはい。そうですね。だってそれがカッコいいと思ってますからね。残念ながら。
空虹桜> 残念ながら。で、2曲目が「かしこまり」で作曲がオガワユウジ(※8)
U・B> 今回何故かメンバー全員クレジットがカタカナですけど、ユーヤン(※9)作曲なのは、去年メンバー全員に作曲をやらせたからなわけですが、これまたスキカウみが強いんですよね。
空虹桜> そうね、メロディメイカーが違う人とは思えない。
U・B> もちろん、作詞家が同じだから、雰囲気変わらないのはあるとも思うし、出だしから「毎年同じ話して 腹が痛いぜ」から「我に返っても 一晩寝たなら 更新されたメロディを そんなボクらは奏でます」(※10)だったりするので、完全に自虐なんですよ。だから、セルフコピーみたいな感じはどうしてもある。
空虹桜> でもさ、思ってもみなかったんだけど、高校忘年会(※11)とかで、結局昔の話を永遠擦ってる自分に気づいて、うわっ、ホントにそうなるんだ!とは思うんだよね。
U・B> 存外、歳を取るってことは自分だけ違うみたいにはならないっていう。それで言うと、スキカウにしろ空虹さん大好きなスチャダラ(※12)にしろ、そんな自分を肯定する気は満々っていう。
空虹桜> この曲は完全に自己肯定の曲だよね。
U・B> 凄いしみったれた言い方をすると、こういうの若い頃は好きじゃなかった気がするんだけど、嫌いにはなれないんですよね。今さら。
空虹桜> 今さら。
U・B> もう自分を肯定しないとやってられないってのもありますけどね。で、このあとに来るのが「茶沢通りは君だらけ」じゃないですか。
空虹桜> 相変わらず、この手の失恋ソングは奮ってなぁと素直に思いました。
U・B> 茶沢通りのチョイスが絶妙だとも思うんですけど、サビがいかにもじゃないですか。キタッ!思ったら、シングル表題曲意識して作ったとかPodcastで言ってて(※13)、なるほどなぁと。まんまとですよ。
空虹桜> 結局、掌で踊らされているだけっていう。
空虹桜> なんかさ、最近思うんだけど、若い子たちって助詞の違いみたいのに無頓着な気がすんだよね。どっちも主語は「茶沢通り」なのに「は」なのか「が」なのかでニュアンス変わるの通じにくい気がする。
U・B> 日本語難しい。
空虹桜> で、まみれつながりで4曲目が「まみれのまち」
U・B> さっきのPodcastの話だと、「まみれ」のどっちか没になると思ったら、両方採用になってビックリしたらしい。
空虹桜> あっ!詞先だからそういう話になるのね。
U・B> ですです。これもいかにもスキカウのシングルっぽいメロディじゃないですか。
空虹桜> 茶沢通りとコンセプトは同じだもんね。
U・B> まぁ、そう聴こえますよね。「おもかげまみれのまち」(※16)ですからね。
空虹桜> そこが茶沢通りか、違うところかの差でしかない。
U・B> でも、地名が特定されるかされないかの差は結構大きかったりする。
空虹桜> そゆ意味では、やっぱりスキップカウズってバンドは下北のバンドだよね。
U・B> まぁ、そうですね。結果的に「茶沢通り」のがグッと来る感じがあって、匿名性を上げた「まみれのまち」のがちょっとだけパンチの弱さを感じたりする。
空虹桜> とはいえ、歌詞の話をすると「それでも なんでだろ?って 言ってみる」「けれども なんでだろ?って 聞いてみる」「それでも なんでなの?って 声がする」(※17)のフレーズワークは、詞だからこそ出来るテクニックだよなぁっていう。
U・B> とくに1番2番みたいな進行があるから出来る芸ですよね。
空虹桜> うん。この手の伝統芸のは伝統芸能で愛でていった方が多様な世界が広がるとは思うんだけどね。で、5曲目が「自分銀行」なんだけど、自分のことは自分で支えるしかないっていう。
U・B> 言い換えると「自信」の話でもあるんですけどね。こゆ風に唄うのが臍曲がり見だとは思うんですけど、その中で「ブルー」「スルー」「ずるぅ」の言い回しが絶妙で。
空虹桜> そうそう。なんか今回のアルバムは1番から2番の展開が凄い打算的というか、狙い澄ましてる感じがある。
U・B> もともとイマヤスの詞は展開で聴かせるんだけど、今回は韻が目立って聞こえるから余計にそんな感じなのかも。
空虹桜> カモね。6曲目は「不思議な人」で、何故か「さよならだけの人生さ さよならだけが人生の」(※18)を繰り返すっていう。元ネタがサッパリ思い出せないんだけども。
U・B> 事前に確認してきてくださいよ。
空虹桜> アンタの努力を無下にしちゃいけないかと思って。
U・B> なんで気を遣われてるテイですか?いちお、井伏鱒二が大本ネタで寺山修司が返句みたいです(※19)
空虹桜> どっちもアタシまったく読んでないんだよねぇ。
U・B> 空虹さん、ホントそゆところに興味無いですよね。
空虹桜> 破滅型が嫌いなんだよ。兎も角、元ネタのせいか歌詞が全般的に「ブンガク」がかってはいる。
U・B> 言い方に凄い悪意がありますよね。なお、この曲はゲストミュージシャンが入っていて、エレキギターが鈴木純也でピアノに高橋康宏となっており(※20)、曲自体が鈴木純也と2人スキップカウズ(※21)で作った曲だったり。
空虹桜> なかなか珍しいパターン。
U・B> とはいえ、サビの「とても不思議な人」(※22)の唄い方は、いかにもスキカウというかイマヤスだなぁと。
空虹桜> 7曲目が「キヨカワ」だけど、サッパリ意味がわからない。
U・B> 大丈夫。俺も意味はわかっていない。いちお、台東区の清川のことのハズだけど、作曲はシゲ(※23)で、歌詞もシゲだった気がしたんだけど、クレジットはイマヤスだった。
空虹桜> えーと・・・ああ。山谷の辺りだ。ふぅん。まぁいいや。8曲目が「5分前の僕」なんだけど、曲の中盤の「酔いどれと愛のしじま」と、最後の「アネモネとモモの間」が凄い歌詞だなぁと(※24)
U・B> しかも、「アネモネとモモの間」はAメロなのに、そこで終わるっていう。
空虹桜> 1番が告白できなかった僕で、2番がプロポーズできなかった僕なのに、最後にはハッピーエンドになってるっていう。
U・B> どっちかっていうとオープンエンドな歌詞だとは思いますけど。
空虹桜> いいけど、いずれにせよ、その後悔を踏まえて曲の外で頑張ったってのは、楽曲の広がりがある。
U・B> しかも、イマヤスの唄い方が前のめりだったりするから余計にね。
空虹桜> なるほどね。
U・B> で、9曲目が「マスト」なんだけど、普通に恋愛曲ではあるんだけど、なんとなく、イマヤスが自分の子どもについて書いたのかなぁって気もする。
空虹桜> つかさ、この曲は「マストアイテム」が曲名であるべきで、「マスト」ではないよね。別に「マスト」がなにかに掛かってるわけでもないし。
U・B> そういうこと言う人は嫌われますよ。
空虹桜> へいへい。「シンデレラ」「マリリン・モンロー」「ジュリエット」の並びも今ひとつよくわかんないけど、とりあえず、次10曲目が「褌」
U・B> 問題の「褌」ですよ。菊池風磨の父、菊池常利が「想い出ガソリン」をパクったことに端を発した曲(※25)
空虹桜> ああ。だから出だしが「人の褌で なんの違和感もなく 気持ち悪いとも 思わず 平気で土俵に上がる奴がいる」なのね(※26)
U・B> ですです。一発録り感がある音質ですけど、この曲はロックバンドとしての矜持でもあるからロックっぽいアレンジなのかなぁと。
空虹桜> まぁ、マイナな人パクってもバレないっていうのはね。
U・B> ただ、バレた発端はbayfmなので(※27)、ちょっとアタオカだとは思いますけどね。あと、シンガソングライタ名乗っておいて、作家から楽曲買い取って自分のコピーライトにしてたみたいだから、どうしようもないなとは思いますけども。
空虹桜> あんまりイジりすぎると焼かれそうだから11曲目「かさぶた」で、「褌」と続けて聴くと趣あるというか、ちゃんと凹んでたんだね。っていう。
U・B> 自分で言ってたら世話無いなとも言えますけどね。
空虹桜> アンタが言うな。
U・B> やっぱり「大丈夫なんてそう 簡単に言えない」(※28)と、ちゃんと唄ってるのは信頼できるできるなぁと。
空虹桜> あえてカタカナで「イーマイナーの響きで秘密」(※29)にしてるのも、知らんけど、なんか意味がありそう。
U・B> 「知らんけど」使う人は嫌いです。
空虹桜> あっそ。最後。12曲目が「棒球」は作曲もイマヤス。
U・B> なんかちょっといい曲ぶって、「棒球」ってチンコですからね。
空虹桜> 直接言うな。直接。「照れ隠し球投げた 歌に乗せて」(※30)って歌詞が台無しじゃないか。
U・B> 言うても、イマヤスがロマンチストだってところではあるんですけどね。
空虹桜> 出だしのキー高いところを無理に出してるのが、聴いてる身としてはしんどいけどね。
U・B> とはいえ、実際のところ、イマヤスは声質のわりにキーが出るんですけども。
空虹桜> ってところで、あんまり深い話はしなかった気もするけど、最後にまとめを。
U・B> 8年ぶりとはいえ、いつものスキカウではあるんだけど、改めて聴いてると老舗の味といった印象はあるし、なにより、今さらハッキリ思い知ったのは、なに言ってるかわかる曲が好きだな。っていう。
空虹桜> たしかに今の曲、なに言ってるかよくわかんないの多いけど、老害発言でもある。
U・B> 変拍子が嫌だとか言いたいわけじゃなく、フローが優先なら日本語で歌わなきゃいい話だと思ってて、日本語で唄う以上、ちゃんと発音して欲しいなぁっていう。でもって、スキップカウズってバンドはバンド全体でそこをきちんとやってくれるから愛おしいなぁと。
※1^ 8年ぶり:ライヴはガンガンやってるので、改めて8年ぶりと言われたらビックリするのだけど、盟友の有吉弘行が帯でそう書いてるのだから事実。
※2^ スキップカウズ:U・Bがベタ惚れする千葉を代表するバンド。メジャデヴュ後のアルバムはすべて過去に紹介しています。メンバーは、Gu.遠藤肇(リーダ) Vo.今泉泰幸(イマヤス) Ba.小川雄二(ユーヤン) Dr.直井茂雄(シゲ)
※3^ イマヤス:ヴォーカル今泉泰幸の愛称。
※4^ 山梨でラジオのレギュラー番組持ってる:FM-FUJIで放送されている「FRIDAY PUNCH★」のこと。なお、イマヤスはLuckyFM茨城放送でも「HAPPYパンチ!」の水曜レギュラーなので、「パンチ」づいている。
※5^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※6^ 清志郎トリビュート:ご存じロックの神様、忌野清志郎(RCサクセション)の名曲「雨上がりの夜空に」を意識していると勝手に思っている。
※7^ 2つの鍵括弧内は歌詞より引用。
※8^ オガワユウジ:※2を見ての通り、ベースの小川雄二のこと。
※9^ ユーヤン:※2を見ての通り、小川雄二の愛称。そういえば、遠藤の注釈を書き忘れているが、まぁ、いいか・・・
※10^ 2つの鍵括弧内は歌詞より引用。
※11^ 高校忘年会:東京に出てきた高校の同級生で行われる忘年会のこと。毎年10人程度が集まるので、みんな真面目というか、なんだかんだで仲が良い。
※12^ スチャダラ:空虹さんが大好きなヒップホップグループ、スチャダラパーの略称。
※13^ Podcast:イマヤスのポッドキャスト「#638 イマヤス 「渡會恒太と語るShall we バンス?前編」参照。後編はアップ日当日なので、本編には反映されません・・・全然違う話されてたらどうしよw
※14^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※15^ イマヤス:※2を見ての通り、今泉泰幸の愛称。
※16^ 鍵括弧内は歌詞より引用。あっ、詞先の注釈書き忘れた。
※17^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※18^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※19^ 井伏鱒二が大本ネタで寺山修司が返句みたいです:ソースはこちら。この手の古き良きサイトが生き延びてるのはありがたい限り。
※20^ 鈴木純也:OHIO101のヴォーカル・ギター。あるいはフラカン鈴木圭介の弟。 高橋康宏:元ザ・マスミサイルのキーボーディストにして、ししとうとか太陽族とか藍坊主のキーボード。
※21^ 2人スキップカウズ:イマヤスとリーダーで活動する時の名称。
※22^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※23^ シゲ:※2を見ての通り、ドラムの直井茂雄の愛称。
※24^ 直近の鍵括弧2つは歌詞より引用。
※25^ 菊池風磨:timeleszのメンバ。 菊池常利:菊池風磨の父親。いちお、Wikipediaにも書かれているのであります。
※26^ bayfm:千葉の地方FM局。イマヤスは長年レギュラ番組を持っていたので、スキカウパクったらすぐにバレるのであった。千葉ローカル民的には圧倒的にスキカウのが大事っていう。
※27^ 「流れ星ビバップ」ってタイトル付けといて:小沢健二の楽曲名。正確には「流星ビバップ」なのだけど、この名前になるのにも紆余曲折があり。
※28^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※29^ 鍵括弧内は歌詞より引用。
※30^ 鍵括弧内は歌詞より引用。