ウチの後輩の皆様方に「どうでしたか?」訊かれたた時、U・Bの回答は
「
余計なしがらみ取り除けば、王道ヒロイックファンタジィ」
結構自信あったんだけど、パンフ見たらもっといいフレーズがあった。
なるほど。どんなにエミネム自身が否定したとしても、これは「
アイドルムービー」だ
ただ、もちろんパンフとは違った受け方をしてるんです。U・Bは。
これは、ビートルズ的な映画とは違う。プレスリーにより近いし、もっと近いのは、たぶん、石原裕次郎だと思う。
暴言吐こうか?そう、エミネムはアメリカの石原裕次郎なのだ!!
冒頭でも書いたように、ストーリィそのものはベタなんですよ。そりゃ
おすぎも褒めるわなと。
だって、主人公がライヴァルから屈辱を味あわされて、いろいろあって、立ち直って、ライヴァルに同じ屈辱を味あわせる。これってヒーロー物の王道でしょ。
セオリ通りに展開し、ライヴァルを倒したことによってカタルシスが観客に与えられる。
ただ、この映画が決定的に違うのは、そこに日本人がもっとも疎い概念の一つである“人種”が出てくるところ。
もちろん、そこらは社会学士である空虹さんに訊いてもらった方がわかりいいと思うんで、俺はパス。
けれど、やっぱり「8Mile」という距離は重要で、そこには触れとかなきゃいけないと思う。
8Mileだよ8Mile。計算すると、1.6*8でだいたい12.8km。
この距離が白と黒の境界線。そこで世界が切り替わる。
金持ちになりたい。有名になりたい。そう思うヤツらは8Mileを遥か越えてニューヨークを目指す。
単純に8Mile向こうへ行こうとは思わない。
だってこの街にはなにもないから。
本当に無いのかどうかは重要ではない。
何故ならそう信じることで彼らのプライドは保たれているのだから。
たぶん、誰もが彼らと同じように8Mileの境界線を持っている。
心の中で、現状に安住しようという弱さを抱えている。
主題歌の「Lose Yourself」の話をパンフに書いてるライタやVERBAL(m-flo)はしているのだけれど、ちょっとだけ俺の解釈とは違う。
どうしてエミネムがこんなストレートなリリックを放つのか?
んなの決まってんじゃん。ディスる相手がエミネム自身であり、なにより聴いてる・見ている俺たちだから。
一般性・普遍性を与えるには、平易な言葉・ストレートな言葉を使うしかないのだ。
だから、この映画のプロットはベタな王道ストーリィなのである。エミネムのアイドルムーヴィなのである。
何故?それは、誰にも当てはまりうる物語でなければならないから―
「いつ夢を諦めたらいい?」
「まだ、朝の7時半だ」