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洋画

作品名記述者記述日
シビル・ウォー アメリカ最後の日唸るバクテリア2024/11/29★★★★★

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どこで見る?ったら、都内で一番良い環境であるところの丸の内ピカデリー最前リクライニングシートでしょ!
ってところで「シビル・ウォー アメリカ最後の日」見ました。
とはいえ、家出るのが結構ギリギリになってしまったので、映画はじまる前にグッタリしてしまったのだけど、わたしは元気です(テンプレ)
自由の女神の象徴性はやはり強いなぁ。
ひたすらオシッコ我慢してたのだけど、ワンチャン席を立つ隙の無さ。
しゅごい
素直に圧倒された。
これを作れるのがアメリカの強みであると心底感じる。
監督のアレックス・ガーランドはアメリカ人じゃないのだけれど。
もちろん、そこにトランプの影は感じるのだが、明確なのは分断であり対立だろう。
物語のはじまりは既に終盤で、白人だろうが黒人だろうが撃ち殺される。
出生主義的にアメリカ人でない人間だけを撃ち殺す人がいて、無関心を装う人たちがいる。
しかも、その撃った本人はジェシー・プレモンスでやんの。ちょっと前に「憐れみの3章」見たばかりの日本人は混乱が増す。
リアリティにしか見えない世界観で、これでもかとドルビーシネマが迫力ある映像を映し出し、ドルビーサラウンドが混乱を誘う。
とくにラストのホワイトハウスへ侵攻する過程のサウンドは秀逸で、尿意を忘れさせるに充分な緊迫感が張り巡らされる。
息が詰まる。爆発は呼吸を止める。

面白い映画なのは間違いない。
なにか悲劇的なことがある度に、パンクやヒップホップが、カントリーが流れる。
スーサイドやデラソウルがドラッグを唄い、スタージル・シンプンソンは絶望的に唄う。
アメリカは内戦をしていた国なのだから、常に緊張感がそこにある。州の独立性は担保されていて、それぞれが法律を制定する。
WFの星条旗には星が2つだけ飾られている。
FBIを解体したなんて、明らかに無能な大統領を弾劾する権利がアメリカ国民には与えられていて、しかし、内戦に陥るのだからアメリカはアメリカ以外に敵がいないか、それどころではない状況に陥っている。
この時、周辺諸国がどうしていたのかは気になるのだけど、おそらく、アメリカはアメリカ以外に興味が無い
アメリカは本当に残念な国で、その意味で、安倍晋三が気に入られていたのは得心がいく。
互いに友達甲斐が無いからだ。
閑話休題。
主人公リー・スミス as キルステン・ダンスト(実の旦那がジェシー・プレモンス!)とその一行は報道カメラマンというか、戦場カメラマンなせいか映像が抜群なのである。
ピントワークが見事だし、いちいちお洒落でカッコいいカットが映し出される。
リーの撮る写真はカラーで、ジェシー・カレン as ケイリー・スーピニーの撮る写真は白黒。明確に対象関係でが描かれる。
師匠と弟子の関係から、師匠は師匠の師匠であるサミー as スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソンの死を乗り越え、最後には師匠を乗り越えてひとり立ちする。
一週間程度のとんでもない過程。
ドラマとしては王道で、内容を踏まえて上映時間の109分を考えると、どうやって収めるの?思ったら、なるほど。これならばたしかに収められる
設定と物語の絡ませ方が良い。
もちろん、都合の良さみたいなのも感じるけれど、端折るポイントも適切で誰も振り落とさない。
ただ、血塗れで死体塗れなだけ(嘔吐シーン有)

どうしたって、このタイトルは「キャプテンアメリカ」を想起させる。
実際、アトロクでもそんな当初があった。
もちろんここにはキャプテンアメリカは登場しない。
アメリカは崩壊し、新しいアメリカが生まれる。
しかも、彼らは自分がアメリカ的であると自己認識している
誰もがキャプテンアメリカなのだ。おそらく。
これは意図的だろう。
どういうアメリカ人だ?
役名が無いのに異常なインパクトを残したジェシー・プレモンスは、まるで見事な人種差別主義者っぽく言い捨てて、たしか香港人の報道記者を撃ち殺す。
強くなければならないアメリカが重力崩壊するとしたら、そこに残るブラックホールになにが吸い込まれるのかは、見た人が考えるのだ。
ロシア軍に埋められたウクライナ人たちのように穴へ捨てられたアメリカ人の死体の上で、ジェシーは這い回り慌てて逃げ出す
ラストシークエンスは、ほぼ台詞が無い。
アメリカ合衆国大統領は、命乞いをする。
みっともない。
もちろん、それを聞いた上で、確定させた上で、殺すのだ。
あまりのリアリティ。

そうそう。パンフデザイン表紙が抜群なのだ。
わかりやすいニューズウィークパロディ。
そして、裏表紙のGIジョーチックなリーと、A24ロゴが絶妙。

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