「
DUNE/デューン 砂の惑星」を600円引きで見たいからと、いろいろ考慮した結果、ドルビーシネマで「
イン・ザ・ハイツ」を見るという自己矛盾のような選択をしました。
よく考えれば10月は
誕生日割引利くので900円引きで見れるじゃないか・・・プラマイ、マイナスな気がする・・・まぁ、いいけど。
それはそうと、このご時世にもかかわらず、近くにずっと咳き込んでるじーさんがいたので(以下自粛)
イヤんなるぐらいにいい映画なのだが、如何せん、
今の俺には明るすぎた。
別に世界が明るいよ!って映画じゃないし、停電だし、いっそ、たくさんの不幸が訪れる映画なのだけれど、でも、決定的なところで明るい。
人種という名の文化によるところなんだろうか?
本質的に根暗な人間としては、んでもって、仲良い人たちと全然遊んだりもしていないこの頃においては、この明るさは毒になる。嫉妬すら覚える。わりと。
あ〜あ、遊びたいね。まったく。
ミュージカルとはわかっていたのだけれど、ここまで音楽べったりの映画とは思わず、ビックリしました。
KREVAがパンフで言及しているとおり、ラップとミュージカルの親和性は凄まじく高い。
ミュージカルというより、音楽ドラマと言った方が良さそうな。
サントラはたしかに良くて、今時らしくヒップホップ/ラップが中心なのだけれど、だからこそ、ストリートアクション的なダンスとの相性は良くて、各カットがいっそMV的ですらある。
「映える」と言うか、目に楽しい。
「アラバンサ」の語が、響く映画だったのだけれど、しかし、「ケセラセラ」や「ろくでなし」ほどテーマ的に扱われるわけではない。
いっそ、街に縛られてしまったことが幸福なのか?
といえば、必ずしも幸福ではないかもしれない。
でも、今の幸せはたしかにある。
幸せになりたいよ。幸せに。
それにしても、ウスナビとアブエラが抜群なんだけど、ヴァネッサが驚きのエロさというか、いい女っぷりで、
そりゃ惚れるわ!っていうか、ウスナビ学生の時から知ってるってことは干支一回りぐらいは片想いしてるわけで、
どんだけ!っていう。
いや、アレぐらいいい女を、夢と引き換えに落とせるなら12年なんて短いものだが。
ん?見てる時は認識してなかったけど、ある種のマチズモ肯定というか、アメリカンドリーム否定だった・・・のか?
言うまでも無く、移民と社会の関係において、一番重たいところを描いている映画で、もともとのミュージカルにしろ、原作者が次にブロードウェイかけて、見たいことこの上ない噂の「ハミルトン」にせよ、多様性国家のハズなのに多様性が排斥されるアメリカ(スタンフォードですら、ニーナは泥棒扱いされるのだ!
差別は知性と共存する)で、カリブ海からの移民であることの物語は地に足が付けられないことの、そこはかとない不安をバックグラウンドに漂わせている。
回ってきた96000ドルを、ソニーの永住権獲得に使おうとするシーンは涙が止まらない。
しかも、監督は「
クレイジー・リッチ・エイジアンズ」のジョン・M・チュウ。エイジアン。
アメリカの中心でない人たちが文化の中心である。それはヒップホップも同じ。
経済の中心ではないからこそ、「忍耐と信仰」であり「小さな尊厳」なのである。
「クレイジー・リッチ・エイジアンズ」の真逆であり、でも、ベクトルというか距離は等しい。
でさ、話は頭に戻るのだけど、自分が選択した「
ここがホームだ 」と言うのは、自由の喪失でもある。
どうしたって自由を捨てることに対するその無邪気さというか、ある種の腹の括りが俺には眩しく見える。
自由を捨てられるのは羨ましいけど、厭なのだ。
だから、この映画にパワーをもらえる人たちは羨ましいのだけど、本質的には俺とは違う人なんだな。とも、思う。